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SF・ファンタジー・ホラー

風車のまちのユートピア<5>

   

ギーナのプログラム異常、どんどん悪くなるばかりだね……

ぼくは、ルーヘンも父さんもアルカディアも、“好き”な気がするんだ――

アーデルベルトは、ここへ、なにをしにきたのかしら……?

運命の刻が近づいてくる。
真実がゆっくりとやってくる。

 

 その日。
 また昼過ぎから発熱したギーナは、三時のお茶よりも前にベッドに入っていた。

 ルーヘンはその枕もとに水差しを運び、頬に赤みのさしているギーナを心配そうに見つめ、やがて、力なくうなだれて部屋を出た。

 その足でルーヘンは、アルカディアの姿を求めて家の中をさまよった。
 居間にもいないし、キッチンもシンとしていた。
 アルカディアが寝室にしている、博士の部屋のドアもノックしたものの、返事はなかった。

 ようやくアルカディアを見つけたのは、庭でだった。
 彼女は物干し場のそばに立って、ぼんやりと風車の丘を見上げていた。
 スカートが風にはためき、金の髪が舞っていた。きょうは普段よりもやや風が強い。

「アルカディア」

 呼びかけられて、アルカディアは振り向いた。

「ルーヘン」
「ねえ、ギーナは大丈夫かな……? このごろ、ベッドにいる時間が長くなってる。熱の出る間隔も、前より短いよ」
「……できるかぎりのことはしているのだけど、わたしには、博士の組んだプログラムは難しすぎるの……」
「そう……」
「ごめんなさい」
「熱が出るようになったのは、アルカディアのせいじゃないから……。謝らないで」
「……」

 

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