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ラブストーリー

渚-nagisa-(30)

   

体育祭は五十嵐の反則行為により、タケル達のクラスが総合優勝というどんでん返しで幕を閉じた。

協力して優勝を勝ち取ったタケルとハルカ。リレーを通じることで、二人の距離が一気に縮まると、お互い思ってはいたのだが……。

 

渚 第30話 うわさ

 体育祭はタケル達2年6組の総合優勝で幕を閉じた。

 一度は諦めた総合優勝であったが、たなぼた的なその勝利に戸惑うものもいれば、素直に優勝を喜ぶものがいるなど、クラスメートの反応は様々だった。

 だが優勝できたのだからこれは喜ぶべきだという弘樹の一言により、クラスは一応のまとまりを見せていた。

 翌日は体育祭の振り替え休日のため学校は休みだった。ハルカがその日、痛めた足の治療のために病院へ行くということを知り、タケルはハルカに『付き添って病院へ行くよ』と約束していた。

 タケルはハルカの家へ向かうために純也と駅前で待ち合わせをしていた。

 タケルは未だに、ハルカと二人きりになって話をすることはできないでいた。ハルカが自分の事を好きでいてくれているのは分かっている。

 しかし、分かっているから余計にハルカの事を意識してしまい、まともに目を見て話をするのができなかった。

 ハルカも同じく悩んでいた。今まで人を好きになって告白をしたことがなかっただけに、告白はしたものの、この先どうしてよいのか分からず、毎晩頭を抱えていたのである。

 純也はそんな二人の事をもどかしく思っていた。

 純也としては実の姉であるハルカとタケルが上手くいくことを誰よりも願っている。タケルは悪い奴ではないし、性格も良いので、ハルカとはキチンと真面目に付き合うだろうと思っていた。

 それにハルカの病気のことを知っても、以前と変わらず接してくれているタケルにとても感謝していた。

 純也とタケルの出会いは、実の姉であるハルカを助けてくれという純也のお願いから始まった。タケルはその純也の願いを誠実に、しかも着実に叶えている。

 こいつなら姉を任せても良いと、まるで、娘を嫁に出す父親の心境のようにそう思っていたのである。

 約束の5分前にタケルが待ち合わせ場所へとやってきた。来る途中で弘樹にばったりと出くわし、事情を聞いた弘樹も一緒に行くというので、二人一緒にその場へと現れた。

「お前らいつも一緒だな。あんまり一緒にいると変に思われるぞ。もう年頃なんだからさ、休日は横に女を連れて歩けるようになれよ」
 
 純也は鼻で笑いながら二人に言った。その態度にカチンと来たのか、弘樹が純也に向かってイヤミっぽい口調で言い返す。

「そういうお前はどうなんだよ。お前が女の子と一緒にいるところなんて見たことないぜ。もしかしてお前、女の子に興味がないとか……。ガタイがいい奴に限って、女の子じゃなくて、男に興味がいくって言うぜ。もしかしおまえ、そっちか……」

 

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