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ラブストーリー

渚-nagisa-(30)

   

「さあ、行くか。歩きだと少し時間がかかっちまうけど、途中でタクシーでも見つけようや。姉貴も足を怪我して大変だからな。ちょうど良かったぜ。おっと噂をすれば……」

 駅前にちょうどタクシーが到着し、純也はそのタクシーに向かって右手を挙げて合図を送った。

「ちょ、ちょっと待てよ。俺たちお金なんかもってないぜ」

 弘樹が慌てて純也に話しかける。

「それなら心配いらねえよ。今朝、親父の財布からくすねてきたからな」

 純也はフッと鼻で笑いながらズボンのポケットからお札を出し、二人に見せた。
 聖徳太子が2枚と伊藤博文が5枚。高校生が持つような金額ではなかった。

「お前、いつもそんなことしてるのか?」

 弘樹が軽蔑したような眼差しで純也に尋ねた。

「まさか。そんな事しょっちゅうするわけないじゃねえか。今日は姉貴の付き添いだしな。実の娘が怪我して病院に通うんだから、これぐらいはいいんじゃないか?」

「じゃあ自分の為にくすねたことはないの?」

 タケルが尋ねた。

「まあ、そりゃあ、俺も色々付き合いがあるし、足らない時には、少しだけな……」

「付き合いって、女の子だったりしてな」

 弘樹が冗談交じり(実はさっきのタケルの話を確かめるために)にそう言った。

 一瞬、純也の目尻の辺りがピクッと動いたのをタケルと弘樹は見逃さなかった。

 そしてタケルと弘樹は心の中で同じ言葉を呟いていた。

「図星か!」

 

-ラブストーリー


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