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SF・ファンタジー・ホラー

風車のまちのユートピア<7>

   

ギーナの死によるルーヘンの動力停止に驚くアーデルベルトに、アルカディアはふたつの意外な事実を突きつける。

それぞれの真実――。

そしてクルシュマン博士の真の遺言とは……?

『風車のまちのユートピア』完結編・前編!

 

「ルーヘンの動力停止――十二月十七日、午前七時二分」

 カーディガンのポケットから懐中時計とメモ帳を取り出して、アルカディアは、呟きながらデータを書きつけた。

 それを、部屋の隅で、アーデルベルトが呆然と見つめていた。
 彼に話しかけるでもなく、アルカディアは、自分に言い聞かせるように声に出した。

「ヒトのような“感情の生成”がアンドロイドにプログラムできるかどうか――。博士の亡くなった今となっては、残念ながら、この論文の書き手はいないのね……。せっかく、興味深い結果が出たけれど」
「……アルカディア……」
「でも、きっとそれでいいんだわ。ギーナとルーヘンの“人生”がおもしろおかしく人の目にさらされるのがいいことだとは、わたしには思えないもの」
「アルカディア!」

 再度呼ばれて、アルカディアはゆっくりと振り向いた。

「なあに、アーデルベルト?」
「ギーナがヒトだって……きみは知っていたのかい?」
「ええ」
「隠してたのかい?」
「そうよ、ルーヘンには隠してた。わたしも、ギーナも……亡きクルシュマン博士もね」
「そんな……」

 

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