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SF・ファンタジー・ホラー

マスクエリア 第五覆面特区〜三章 光か影か(8)

   

笹田に促されるまま車に乗り込んだ清水は、バトルシティ内にいる、ニュースタイルマフィアと敵対する勢力が蜂起し、暴徒と化し暴れまわっている現場を目の当たりにする。しかし、笹田の焦りはそのことが原因ではないということを、すぐに清水は思い知らされるのだった。

 

「一体何があったっていうんだ」
「おいおい説明させて頂きます」
 笹田は、車の後部座席に乗り込んだ清水の質問をいなしながら、アクセルをぐい、と踏み込んだ。普段の彼からは想像もできない位に激しい動作に、タイヤが悲鳴を上げる。
「……なるほど。こいつは確かに非常事態だな」
 急発進の挙動に束の間翻弄された清水だったが、すぐに、彼の関心は、車の揺れではなく、窓の外の光景に向かうことになった。
 いつも目にしているのどかな郊外の風景は、押し寄せる数十とも数百ともつかない、人相と身なりの悪い男たちによって、完全に破壊されてしまっている。
 露出の多い服装で逞しい筋肉を見せびらかせている男たちは、何事かを叫びながら、建物にハンマーを打ちこみ、放置されていた車や自転車を打ち壊し、壁面にスプレーで落書きを行い、草が生い茂る空き地に火をつけていた。典型的な破壊に酔った暴徒たちである。
「学生たちは既に避難させました。もちろん、サラや高倉さんに対しても、外出禁止を厳命しています」
 怒りを抑えきれないといった感じの笹田の声を聞き、清水はほっと胸を撫で下ろした。
 どんな状況であろうと、人命に危機が及ばないことは喜ぶべきだし、何より、サラたちをこの暴力的光景と直面させずに済む。
 彼らSSAクラスの生徒たちが、超人的な能力とは裏腹に、同年代の少年たちと比べてもずっと繊細だということに、清水は、これまでの付き合いで薄々気付いていた。
「しかし、どこの命知らずだ。ニュースタイルマフィアのお膝元で、これだけの騒ぎを起こすなんてな」
「既存勢力、ですよ。蜂起と言った方が近いでしょうか」

 

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