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ラブストーリー

渚-nagisa-(32)

   

ハルカの付き添いで病院へとやってきたタケル達。
五十嵐と義男の企みを知り、今度こそ二人をギャフンと言わせようとした弘樹の意見に、タケルは反対した。

いがみ合ってばかりでは、お互いにとって良くないと、自分の考えを熱く語るタケル。その熱弁を、たまたま病院に来ていた渚高校の校長先生に聞かれ、絶賛されるタケルだった。

だがタケルはこの時まだ、校長先生とある人物がとても深いつながりがあるということに気がついていなかった。

 

渚 第32話 校長先生

「お父さん、検査はどうでしたか?」

「ああ、これといって原因はないみたいだよ。たまたま機械の調子が悪かっただけではないですかと、医者には言われたよ。母さんが言った通り、あまり気にする事でもなかったのかもしれないな……」

「だから言ったじゃないですか……いつもマイクがハウリングを起こすからといって、あなたの体が特異体質というわけではないと思いますよ。原因は他にあるんじゃないんですか?」

「他に原因が? いったいどんな原因があると言うんだい?」

「お父さんの話があまりにも長いから、生徒の誰かがマイクに仕掛けをして、あなたの長話を止めさせようとしたんじゃないんですか? お父さんの話はいつも長くて、聞いている方はホントに疲れるんだから……」

「何を言ってるんだい、母さん。私の話が長いというのは聞き捨てならないな。大体、私は渚高校の校長なんだよ。生徒達に色々な話を聞かせて、納得させ、そして成長を促すのが私の役目じゃないか。それを私の話が長いなんて……」

 それから校長の教育に対する熱い思いが30分以上に渡り語られた。

 校長の奥さんはウンザリした表情で、校長の話に耳を傾けながら(右から左へ通り抜けているだけだが)夕食の支度を始めていた。

 校長の話に耳を傾けながら夕食の支度を始めてから、すでに40分が経過していた。ロールキャベツに味がしみこみ始めた頃、玄関のドアが開いた。

「あら、あの子、帰ってきたみたいですね」

 校長の話にウンザリしていた校長の奥さんは、娘の帰宅により、この話を切り上げる事が出来ると思い、先程の表情とは打って変わり、明るい笑顔が浮かんでいた。

「ただいま~」

「あら、お帰りなさい。お休みの日に部活の練習なんて大変ね」

 

-ラブストーリー


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