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SF・ファンタジー・ホラー

風車のまちのユートピア<8/完結>

   

その家にアーデルベルトが呼ばれた理由。
アルカディアβことユートピアの役割。
クルシュマン博士の夢…。

謎が明らかになり、物語は結末を迎える。

『風車のまちのユートピア』これにて完結!

 

 ユートピアは、寝間着から服に着替え、髪をくしけずり、風のまちにいるがゆえに乾きがちな唇にリップクリームをたっぷり塗ってから、ダイニングで、甘いミルクティーを一杯飲んだ。

 そして、再び二階へ上がってきた。

「『死のない命は、永遠の不幸』……、きっと、博士はいつしかそれを知ったのね。だから、ルーヘンを作った際には、彼に“死”を与えた。けれども最初に作ったアーデルベルトには“死”を与えていなかった。それを後悔して、あせって、どうにかしなければと悩んだ……」

 亡きコルネール・クルシュマン博士が研究室に使っていた部屋の扉を大きく開け放ち、その部屋の中で、ユートピアは一人、言葉をつむぐ。
 自らの頭の中を整理するために。

「博士はやっぱり天才だったんだわ。アーデルベルトは、試作機でもあの出来映えなんだもの。試作とはいえ、ほとんど完成してたのね」

 今、この家の中には、一人の生者と、一人の死者と、動力の停止した擬似生命体が二体。

「博士がママに頼んだのは、ギーナの死までの苦痛を取り除いて彼に安らかな死を贈ることと、ギーナの死によるルーヘンの変化を観察すること、それと、試作機であるアーデルベルトの動力を停止させて、彼に“死”を与えること」

 

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