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ラブストーリー

その時、彼女達は

   

三話オムニバス。
それぞれの恋人達の一場面。

その時、彼女達は・・・。

 

scene.1

 ずっと心の隅に引っ掛かっている事が、最近になって酷く自分を落ち込ませていた。
 いつの間にか側にいるようになって、いつの間にか恋人のような付き合いをしている男がいる。恋人と呼べる関係なのか、アタシは分からない。
 デートのような外出もするし、セックスもする。勝手に部屋に居座られても、別に違和感はない。
 気が付けば、その男、司(つかさ)の物が、狭い部屋に増えている。

 だけど、好きだとも、愛してるとも言われた事はなかった。

 自然に・・・、そう言えば、少しはロマンチックかもしれないが、その自然が実際は一番酷だという事に気付いた。聞けばいいだろうと友人達には言われるが、そのタイミングが分からない。
 セックスの最中に聞こうと思った事もあったが、それを聞いた途端、身体を離される事を想像してしまうと、言葉は出てこなかった。
 自分自身、司の事をどう思っているのだろうと思えば、アタシは好きだ。一緒にいるのも苦痛ではないし、抱かれるのも好きだ。ドキドキなんて、少女のようなときめきこそ無いが、彼の側にいる事に息を吐ける自分がいる。それこそ、自然とそうなっていた。

 高校を卒業してから、直ぐに催された同期会。それに出席してからだ。卒業してまだ日も浅くて、別段懐かしみも何もないまま顔を合わせた面々など、どうだと思う事はない。
 ただ、有名ホテルでの立食パーティーだったから、行っただけ。普段食べられない物が食べられるかもと、腹の満たしだけを考えて行ったようなものだった。
 その頃はまだ二十歳前だったから、アルコールは勿論出るわけもない。
 その頃から、既に飲み始めていたアタシだったけど、そこは諦めて、食事を楽しんでいた。会場の中央に並べられた食事に少しばかり飽きてきた時、端に用意されていたイスに腰を下ろした。
 その時だ。
 アタシの横に腰を下ろしたのが司だった。
 元々知らない間柄ではなかった。高校一年の頃だけ、クラスが一緒だった。だけど、すごく仲良くしていたわけでもなかったし、だからと言って、全く話した事がないわけでもなかった。
 だから、横に腰を下ろされても、なんだと気にする必要もなかった気がする。あの時は。

 

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