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ラブストーリー

渚-nagisa-(35)

   

義男の別荘がある島へとやってきた一行。日常から離れ、それぞれが島を満喫していたとき、義男が島の探検に出掛けようと提案を持ちかけた。義男と五十嵐の罠があると知りつつも、彼らを更生させるために、探索へと出掛けるタケル達だったが……。

 

渚 第35話 罠

 別荘の前の道は山の頂上へと続いている。この島には大きな通りが一本あるだけで、他には獣道のような細い道があるだけである。

 その大通りを(キチンと舗装されているわけではなく地面を踏み固めたようにな道)ぞろぞろと遠足気分で歩く一行は、まだ義男と五十嵐の『罠』がどの辺りにあるのかが分からないでいた。島で唯一の生活道路であるこの道に、落とし穴を作るという、あまりにも迷惑な行為をさすがの二人もすることはないだろうと思い、あまり警戒せずにその道を頂上へ向けて上って行った。

 10分程歩いたところで、一団の一番後ろにいた義男が、前にいるみんなに向かって呼びかけた。

「皆さん、この道を真っ直ぐ行っても頂上へは到着しますが、それでは僕達の目的である『探索』にはならないと思うんです。こうしてはいかがでしょうか。少し脇にそれた道に入って頂上を目指すというのは。冒険をしているみたいで楽しくなると、僕は思うんですけどね……」

 義男の言葉を聞き、『ついに来たか!』とみんなは頭の中で思っていた。タケルはマイケルの方に視線を送ると、マイケルは軽く頷きタケルに答えた。そして、義男の作戦に引っかかるべくして語り始めた。

「そうだね、義男の言うとおり、このままこの道を真っ直ぐ上って行ったんじゃただの散歩と変わりないし、探検しながら進んでいった方が楽しいしね。皆はどう思う?」

 タケルはワザと皆に問いかけ、皆もそれが、タケルの義男が仕掛けた作戦に引っ掛かるべく仕掛けた作戦である事は事前の話し合いで分かっていた事なので、タケルの言うとおり、義男のいう道を進む事に全員が合意した。

「そうと決まればこちらの道を行きましょう! 僕はこの島のことを良く知っているので、僕が先頭に立つと冒険の意味がなくなると思うんです。ですから皆さんが先に進んで、僕と五十嵐さんが皆さんの後ろから付いていく事にしたいと思います」

 義男のその『明らかに怪しい言動』に対して、弘樹がタケルにそっと耳打ちした。

「明らかに何かがあるのがバレバレな言い方だな」

「うん、でも気づかない振りをしておかないと。ここで気づかれたら元も子もないしさ。マイケルがあらかじめ落とし穴の場所を調べてあるから、マイケルの近くを離れないようにしよう。それと、落とし穴に落ちた時にはなるべく大袈裟な表現をするようにしよう。それであいつ等の気が済んでさ、こんな馬鹿げた事の繰り返しが終わるならそれでいいじゃない。俺たちも精一杯、大袈裟に演技しよう」

 

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