幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

マスクエリア 第五覆面特区〜三章 光か影か(10)

   

敵の、すなわち特区側の大反攻という予期せぬ事態にも、アランは全く動じず、防衛隊に、持久をテーマにした作戦である「作戦F」の遂行を命じる。新月の常識からすれば考えられない指示であったが、その直後、戦局は思いもよらぬ事態へと進展していくのだった。

 

 アランは新月に目くばせし、すたすたと前を歩き始めた。どうやら、特区側が反撃してきた、詳細な理由を聞けということらしい。
「しかし、あなたが無事に帰って来て下さって良かった。おかげで、私たちは対応を取ることができました。一体、彼らはどのように反撃してきたのでしょうか?」
 必死で敵の追撃を振り切った隊員に労いの言葉をかけることもないアランへの苛立ちを必死に隠しながら、新月は努めて優しい調子で、怪我をした男に声をかけた。
 すると隊員は、受けたばかりのショックに顔を歪め、小さな声で語りだした。
「いえ、ずっと、掃討作戦は順調だったのです。上級幹部から一般兵に至るまで、隊員の中で手柄を立てていない者はほとんど皆無、敵の数は多いものの、抵抗は軽く、死傷者は僅かといった調子でした。しかし、我々が西方のB―3地区の商業地帯に足を踏み入れたその時、突如として特区の連中が……先行する攻撃隊と後方の輸送、指揮部隊との間に、割って入られ、こちらはあっという間に混乱状態に陥ってしまったのです」
「なんと……第一アラン隊がパニックに陥ってしまうほどに、彼らは強力だったのですか」
「信じられないことですが、兵数も質も、想像をはるかに超えるものがありました。三千か、五千か、混乱していたため、詳しいところは分かりませんが、数千名は下りません」

 

-SF・ファンタジー・ホラー


コメントを残す

おすすめ作品