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ラブストーリー

渚-nagisa- 最終話

   

タケルが意識のないまま運ばれた。

衝撃の事実をその様子を見ていた老人に聞かされた仲間達は、顔を蒼くした。

昨日まで元気だったタケルの身にいったい何が起こったのか。

渚-nagisa- 最終話です!!

 

渚 最終話

「お爺ちゃん! どういうことだよ、タケルが運ばれたって」

 弘樹はお爺さんの肩を掴み、強く前後に揺さぶりながら、タケルのことを尋ねた。

「ちょ、ちょっと、落ち着きなさいよ。そんなことしたらお爺ちゃん死んじゃうじゃない!」

 弘樹があまりにも強く揺さぶるので、お爺さんは身体を揺らされた反動で首が前後にぐらんぐらんと振られていた。それを見た亜里沙が思わずそう呟いた。咄嗟に出た言葉とはいえ、失礼な話である。

 とりあえず純也が弘樹をお爺さんから引き離した。この中で一番年上である五十嵐がお爺さんに尋ねた。

「武藤が運ばれたのはいつなんですか?」

「あんたらが来るちょっと前じゃ。なにやら看護婦さんが慌てて病室へと入って行ってのお。何事かと思って病室を覗きにいこうと思ったら、あの子がストレッチャーに乗せられて急いで運ばれてたんじゃ。あの子は意識がないのか、眠ったままで運ばれとったのお」

「まさか、タケルの容態が急変したんじゃ……」純也がポツリと呟いた。

「え、でも昨日はめちゃくちゃ元気だったじゃないか。それにどこにも異常がないはずだろ。もし身体に異常があったならあんなに元気に話をするわけないじゃん」弘樹が言った。

「でも、武藤君……頭を打って意識をなくしてたんだよね……頭を打つのって結構危ないって聞いたことがある。他の箇所と違って、頭って体の機能を全て司るじゃないか。
 それに武藤君は昨日意識が回復したばかりだし……それまでしっかりとした精密検査もしていないし……それにお爺さん、看護婦さんが泣きながら武藤君を運んでたっていったじゃないか。
 何もないのに涙を流しながら武藤君を運ぶなんておかしいよ。やっぱり武藤君の身に何か異変が……もしかして武藤君、僕達が昨日帰ったあとに、自分の身体の異変に気がついたんじゃ……だからみんなにこんな遺書みたいな手紙を宛てたんじゃ……」

 義男がそう言うと、もっともらしく聞こえる。その言葉はみんなの不安をいっそう煽った。

「ここであれこれ考えていても仕方ないよ。とにかく看護婦さんのところに行って事情を聞きに行こう」五十嵐は冷静だった。

 

-ラブストーリー


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