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SF・ファンタジー・ホラー

マスクエリア 第五覆面特区〜三章 光か影か(11)

   

長期に及ぶ訓練で清水は、強靭で柔軟な肉体を手に入れたものの、筋力重視の方針から、三ヶ月前から開始されたスパーリングでは、葛西たちに言いようにやられていた。また、時を経るにつれ、バトルシティは、活気を失い、それと反比例するように、マクベス側の勧誘行動が激しさを増すようになっていき、以前突如として変調を来たした音無の具合も好転しないままだった。
数々の不満や懸念にかられた清水は、ついに、笹田に対して、音無の変調の原因を問いかけた。しかし、彼の口から返ってきたのは、清水には想像もできない、恐るべき計画の一端だったのである。

 

「ぐふうっ」
 切れのいい蹴りを脇腹に貰い、清水は呻き声を発した。既にここ数ヶ月間、打撃を貰うのが日課のような日々を過ごしているとは言え、気分のいいものではない。
 当たりどころと体重差、そして、着けている質のいい防具の関係上、KOされることはないが、延々と攻撃を受け続ける状況が、精神衛生上良かろうはずがない。
「ちいっ」
 だが、清水は舌打ちしながらも、体を丸め、両腕を高く上げ、完全にガードを固める。反撃の手立てがどうにも見つからなかったからである。
 そうこうしているうちに、相手のパンチが飛んできた。
 ワンツーのストレートから、左のボディフックに繋ぐ、ごく当たり前のコンビネーションだが、速く、鋭く、巧い。
 ほとんど予備動作ゼロで、清水の両腕に向かって打ちだされたストレートの衝撃は、ロスなく手首の骨に叩き込まれ、容赦なく、清水の両腕を痺れさせる。そして、完全に無防備になったボディの急所に、内臓までずしりと響くような重さを持った一撃が撃ち込まれていくのだ。
「ぐっ、う!」

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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