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SF・ファンタジー・ホラー

マスクエリア 第五覆面特区〜三章 光か影か(12)

   

清水は、SSAクラスの真実を、笹田から聞かされたが、衝撃を受ける間もなく、バトルシティでの「決戦」の開催を告げるアランと相対することになる。彼の言う「決戦」は、勝敗に関係なくカジモト一派がシティから退去しなければならないという、到底飲めない条件を含んでいた。

態度を硬化させるカジモト側に、アランは格闘試合によっての「譲歩案」を提示する。しかし、その譲歩案によって、アラン側は更に優位に立つことは明らかで、しかもアランは、数の力を背景に、不当な暴力すら使用してきたのだった。

 

「一種の、医療機関ですよ。彼らの衝動を抑え込むだけの負荷をかける、睡眠を含めた訓練設備と、拘束をしないまでも、常に目が行き届くようにするための寮生活。格闘技は、暴漢や、計画を主導した『彼ら』の刺客が襲いかかってきても、破壊遺伝子を発動させず自分の身を守るための、言わば手段です。……更に言えば、今、SSAクラスに居る子たちは、まだ幸せです。他の強力な遺伝子操作をされた人々のほとんどは、サハラで命を落とすか、『彼ら』に回収され、あるいは、一般社会の中で暴走したところで、警察や病院と連動した『彼ら』の手下によって回収されてしまいました。今、SSAクラスにいる子たちは、あの戦場にいたカジモト側の人間が内応者からの情報をきっかけに救出した、ごくごく一部に過ぎず、回収された人が一体どうなったかは、全く分からないのが正直なところです」
「一体、その『彼ら』って言うのは何者なんですか! 悪事ってんなら、あまりに非道過ぎる!」
「我々の調査では、マクベス一門が絡んでいるという結果が出ました。彼らは、その莫大な資金力と知名度、権限によって、有史以来最強の兵隊を作り上げ、実質的に世界を支配してしまおうとしています。常人よりも遥かに速く走ることができ、二十倍の荷物を背負うことができたとしても、確かに、戦車や装甲車と比べれば無力でしょう。しかし、一トンの防弾装甲服をまとい、更に一トンある対艦ミサイル砲を持ちながら動くことができるとなれば、車両兵器よりも遥かに小さく、被弾確率が少ない歩兵が、戦車や装甲車はおろか、航空機や軍艦に対してまで、渡り合うことが可能になることを意味していますから」
「まさか、あの、綺麗事ばかり言っているマクベスがそんな事を」
 清水は、途切れ途切れになりながら、ようやく言葉を吐き出した。笹田の話が衝撃的だったこともあるが、それ以上に、先ほど感じた、首筋に鋭いものを突きつけられた感覚が、加速度的に強くなっていたからでもある。
 正直なところ、笹田の話が、サラや音無たちが絡んだ、とても重大な内容でなければ、聞いていることすら出来なかっただろう。
 笹田は、しかし、清水が感じている異変には全く気が付いていないようで、清水が言葉にしてみせた疑問のみを語り始めた。

 

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