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ラブストーリー

I want to see you. 2

   

*『恋の足音』続編

その晩、伸吾からの連絡が一切なかった事に、ひどく落ち込んだ桃花。だが、それも少しは予想していた事だった。
理由の分からない嘘に悩む桃花。そんな桃花に、英明から一本の電話が入った・・・。

 

 地下街をただ歩くのも直ぐに限界が来て、部屋に戻って来た桃花は、鞄を放り投げて、ベッドに倒れこんだ。
 視界の中に入ってきた時計に目をやり、伸吾はまだ仕事中だなと目を閉じる。今日は、メールをくれるだろうか。どうしてだか、くれないように思えてきた。
 ずっしりと重たく感じる身体を、無理矢理仰向けにして、目を腕で覆った。
 やはり気になっている。昨夜の声色。
 桃花は、耳について離れない、伸吾の声に唇を結んだ。

 いつの間にか眠りに落ちていた桃花は、目を開けてから顔を顰めた。
 部屋の中は既に真っ暗で、気だるい体を起こして電気を点けた。カーテンを引き、時計を見ると、既に夜の7時を回っている。
 ふと辺りを見回して携帯を探した。

「・・・鞄だ」

 放り投げた鞄を手繰り寄せて、中から携帯を取り出した桃花は、画面を開いて目を伏せた。
 いつもなら、伸吾からのメールが入っていてもいい時間だ。なのに、なんの着信も残っていなかった。
 やっぱりかと思う。何となくそんな気はしたのだ。
 ただ、何が彼の機嫌を損ねたのか、桃花は分からない。それに、何故嘘を吐いたのか、分かるはずは無かった。
 こんな時、桃花は思うのだ。
 やっぱり遠距離恋愛など、続くわけはないのだと。会えば分かる事も、会えない場所にいるのだから、どうしようもない。どんなに言葉で説明したとて、伝わらないのだ。

「もう・・・、いい・・・」

 熱くなる目を手の平で押さえてから、桃花は携帯を壁に投げつけた。
 本当なら、今は恋愛で悩んでいる場合じゃないのだ。今現実として、自分のリストラが目の前に迫っている状態。次の就職先を探さなければ、生活できないのだ。
 そんな悩みを抱えている中で、理由の分からない喧嘩に発展している伸吾との仲を、一番には考えられなかった。

 

-ラブストーリー


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