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ノンジャンル

可視光線 4

   

不定期連載第3弾。

新しい関係、
失った関係。

どちらも、
どこか似ている。

 

□■7■□

 その夜の須王は朔の目から見て、ひどくアンバランスな感じがした。
 学生が行くには少々敷居の高いホテルのバーラウンジ。
 須王いわくこれも居酒屋らしいけれど、一応ワンランク上ということでスーツ着用を言い渡された。
 時間より15分ほど遅れてやってきた須王は喪服のような黒い何の飾り気のないスーツを身に纏い、朔の左側に座った。
 背の高いスツールに腰を下ろし、慣れたようにカクテルをリクエストした須王は、他人の視線を受け止めることに慣れ切っている。
 ピン、と伸ばした背筋だとか、濡れたように輝くヌードベージュのリップだとか……。
 いつものように完璧な仕上がり。
 それなのに朔の目に須王はどこか曖昧で、あやふやな存在に映った。

「何か、あった?」

 いつもならこんなこと、尋ねることすらさせない雰囲気を纏っているはずなのに、今夜の須王は朔が尋ねることを無意識に許していた。

「別に、何も?」

 その笑顔はいつものもので。

 

-ノンジャンル


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