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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

秘密-すれ違う二つの心-(17)

   

 最近、智美が妙に明るくなった。同じ時期、雄一郎の奴が妙に付き合いが悪くなった。

 同じ時期に二人の様子がおかしくなる。

 二人には創には分からない何か特別な繋がりがあるのだろうか?

 

秘密(17)

 最近、雄一郎の奴はつき合いが悪い。

 いつもなら率先して自分から飲みに誘う奴なのに、こちらから誘っても、一向にその誘いには乗ってこない。誠が言うには、雄一郎は出会い系で出会った人妻を落とすための準備に忙しいそうである。

 ねらった獲物を落とすために、用意周到に準備を進める奴の行動力には感心する。下準備を進め、必ずターゲットを落とす。あいつはそんな奴だ。今回、奴は智美のことを狙っていたが、誠が情報を漏らしてくれたおかげで、それを未然に防ぐことができた。誠の協力がなければ、智美は奴の毒牙にかかっていたかもしれない。

 智美といえば、あいつは最近妙に浮かれている。まるで彼氏ができた女学生のように、表情が明るいのだ。智美が明るくなった時期と、雄一郎が出会い系で人妻に出会った時期が重なるのは単なる偶然なのだろうか?

 雄一郎は智美のことは諦めたと言っていたが、果たして本当に諦めたのだろうか? 口では絶対にもう手は出さないとは言っていたが……。

 だけど、智美はああいう軽い男はタイプではない。智美と雄一郎が深い仲になることはないだろうし、智美が出会い系サイトなど使うはずもない。あいつは結構まじめな奴だ。

 色々な思いが頭を巡る。夜はどうしてこうもマイナスな考えが思い浮かぶのだろうか?
 以前何かの本で読んだことがあるが、夜は暗い話をしない方がいいそうだ。同じ話でも昼と夜とでは、込められる感情が全く違うそうである。

 ふと、壁に掛けてあった時計をみる。針はすでに0時を回っていた。

 この間システムを新しく入れた顧客先で問題が発生し、俺はその処理に追われていた。誠も一緒になって問題箇所を手直ししてくれたおかげで、割と早く解決できた。誠はいつも俺たちを助けてくれる救世主のような存在だ。口数も少なく、目立つ奴ではないが、困ったときには頼りになる。疲労困憊している俺を気づかい、今は近くの牛丼屋へ夜食を仕入れにいっている。相手のことを考えて行動する、本当にいい奴だ。

「創、お待たせ……遅くなってごめん。意外と混んでたんだ」

「気にするなよ。買いに行ってもらえただけでもありがたいさ。さあ、食おうぜ。相変わらずこの匂いは食欲をそそるよな。匂いを嗅いだとたんお腹の虫が暴れ始めたぞ」

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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