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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

秘密-すれ違う二つの心-(18)

   

いけないとは思いつつ、智美の携帯をこっそりとのぞいた。
そこには『亮介』と名乗る男からのメールがあった。

亮介という、創の知らない男の登場が、二人の人生を大きく狂わせ始めようとしていた……。

 

秘密(18)

 亮介って誰だ?

 この間って何だ?
 
 キスって……どういうことだ?

 智美がもしも浮気していたら、抑えきれない怒りを智美にぶつける……自分でも思っていた。だが、俺は以外と冷静だった。

 もしかしたら間違えかもしれない。そう思ったからだ。

 第一に、名前が違う。マキという女性宛に送られたメールが智美の携帯に届いたのだ。智美はマキではない。この、亮介という男は、間違えてメールを送ったのかもしれない。そう思えるにはちゃんとした理由があった。智美のメールアドレスは、極端に簡単すぎるのだ。

 智美は娘の誕生日をメールアドレスにしているのだ。使っている携帯も、携帯電話各社の中で最も使われている携帯である。なので、よく間違いメールや迷惑メールが届く、と智美に相談を受けたことを覚えている。

 ただ、仕事が忙しくて時間がなかったし、迷惑メールなら放っておけばいいだろうと俺は思っていた。現に、メールの着信履歴を見てみると、智美の携帯には迷惑メールが沢山届いている形跡があった。

 次に、このメールが間違いであるという根拠は、送受信履歴だ。このアドレスでの送受信の履歴は、携帯には残っていなかった。

 智美は結構面倒くさがりな面もある。その証拠に、携帯に届いた迷惑メールを、智美は全く削除していなかった。

 三つ目の根拠は、このアドレスの人物が携帯電話に登録されていないことだ。

 実際に会うとなったら、待ち合わせのためにお互い、携帯でやりとりをするのが普通だろう。なので携帯のどこかに相手の形跡が残っているはずである。

 たとえば、適当な同姓の名前を登録しておくなどして。だが、その形跡は全くない。智美は浮気をしていない。俺はそう判断した。

 だが、気になる点もある。メールの内容があまりにも都合が良すぎるのだ。

 智美が風邪をひいているときに、もしかして風邪をうつしてしまったのではないか? という内容のメール。あまりにも現実とリンクしすぎている。こんな偶然は有り得るのだろうか? 確固たる浮気の証拠がない今、問いただすことはできない。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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