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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

秘密-すれ違う二つの心-(20)

   

秘密第二十話は、智美の視点でもなく、創の視点でもなく、『亮介』の視点で描かれています。

謎に包まれた『亮介』の正体、そして彼と智美と創の過去もこれから徐々に明らかになっていきます。

果たして智美と創を知る『亮介』の正体とは……。

 

秘密(20)

 グラスに入った水を一口飲んだあと、ソファーの背もたれに身を預けた。遮光カーテンの隙間を通り抜けた満月の明かりが、真っ暗な部屋の中に一筋の光の帯を作った。その光は真っ直ぐな線を描き、壁に貼っていた写真を暗闇に浮かび上がらせた。

 写真には大学生ぐらいの若い男が写っている。

 男は、仲間と同じTシャツを身にまとい、肩を組みながら満面の笑みを浮かべていた。Tシャツの左胸には『槙山大学』のロゴがあった。男たちが湖畔でバーベキューをしているところを写したものだ。

 写真の男の額部分には、何度も執拗に何かを突き刺した跡が残っていた。笑顔を浮かべる男の顔とは対照的な、傷つけられた写真のその部分が『異常』な雰囲気を醸し出していた。

 近くにあったダーツの矢を、写真に向かって投げつけた。矢は写真男の左目に突き刺さったあと、その衝撃で小刻みに揺れたあと、床に落ちた。

 急激に激しい頭痛が襲う。左手で顔の左半分を押さえた。

 いつもだ……

 俺の願望が一つ前へと進む度に激しい頭痛が襲いかかる。まるで誰かがそれを止めさせようとしているかのように、耐えるに難い頭痛が俺を襲うのだ。
 
 震える手を延ばしテーブルの上にあった薬を取ると、それを口へと放り込んだ。
 グラスに入った水を一気に飲み干す。俺は倒れるようにソファーの上で横になった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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