幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

窓際騎士、魔族に会う(後)

   

魔王を討伐せよ、と、魔王に従うはずの魔族たちから、意外すぎる提案を受けたウェイン。

魔族たちによると、伯国との戦争を焚きつけようとしているのは他ならぬ魔王とその一族で、魔族では扱えない剣を使って伯国人のウェインに手を下してもらうことで、開戦の意思がないことを強調したいのだという。しかし、当の魔王は、全く支配的でも高圧的でもない雰囲気を漂わせつつ、魔族たちが反乱を起こし、戦争に反対する自分を捕縛したのだと主張する。

魔王と魔族、ウェインはどちらの主張を信じるのか……?

 

「魔王を討伐してくれとは、一体どういうことだ!?」
 ウェインは、衝撃的な提案に声を荒げていた。すると、いかにも貴族然とした魔族が、整った顔をにやりと歪めた。
「おやおや、こちらとしては、魅力的な提案だと思ったのだがね。まあ、いい。お連れしろ」
 指示が飛ぶと同時に、人間よりも遥かに屈強な魔物たちに、ウェインの体は抱え上げられ、目と口に縄が巻かれた。
 抵抗することも、声を上げることもできない。
 体の表面を切り裂くような風圧から、とてつもない速度で、どこかに連行されていることだけは分かるが、全身を覆う風と冷気は、ウェインの体力を容赦なく奪っていく。
(こ、このままでは、まずい……!)
 ウェインが焦りを感じだしたその時、両足が地面に接触し、目と口に巻かれた縄が解かれた。愉快気な光を瞳に宿らせた魔族の一人が、ウェインの正面を指さす。
「紹介しよう。あちらにいるのが、我らが王。デランゼ七世だ」
 紫色の指の先には、確かに、人間と同じ位の大きさの魔族がいた。しかし、ウェインは、彼を王だとはとても思えなかった。
 何故なら、彼がいるのは、一切の装飾品もない、壁にも天井にもひび割れがあるような、狭く暗い部屋であり、窓には、華麗なガラスではなく鉄格子がはまっていた。デランゼの服も、王や貴族が着用する礼服とはまるで異なる、白いボロ布でしかなく、しかもところどころ破れてすらいる。おまけに彼は、椅子に全身を縛り付けられているのだ。

 

-SF・ファンタジー・ホラー

窓際騎士、魔族に会う<全3話> 第1話第2話第3話
アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第34話「それでも――――」

   2017/11/20

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】15

   2017/11/20

ロボット育児日記39

   2017/11/17

忠実な部下たち

   2017/11/17

モモヨ文具店 開店中<36> ~帰り行く者~

   2017/11/16