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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

秘密-すれ違う二つの心-(23)

   

亮介からのメールを創に見られた事を知り焦る智美。
亮介はどうしてこのタイミングでメールを送ってきたのだろう。智美は彼の行動が理解できずにいた。
そんなとき、その答えを示すかのようなメールが亮介から送られて来たのだが……。

智美と亮介のデートでの絡みは今回でおしまいです。
次回の創サイドの話から、この物語の核心へと切り込んでいくエピソードが始まっていきます。

亮介はいったい誰なのか?
なぜ亮介は智美に近づいたのか?

今後の創を取り巻く人物の行動にご注目ください。

 

秘密(23)

 送られてきたメールの文面に、救われたような気がした。やはり彼は、私の事を一番に考えてくれていたのだ。今回、主人がのぞき見た亮介さんからのメールにも、何か意味があったのだ。

『おはようございます。亮介さんがあんなメールを送ってきたので、驚いてしまいましたし、悩んでしまいました。ちゃんと説明してください』

 文章に、怒っている雰囲気を載せてメールを返した。これぐらいの仕返しをさせてもらわないと……。私は笑みをこぼしながら送信ボタンを押した。

『怒ってます? 怒らせてしまったのならごめんなさい。当然ですよね。いきなりあんなメールを送りつけてしまったのですから……きちんと説明します。あのメールは……』

 亮介さんは、私に送ったメールにどういう意味があるのかを、私にも分かるように説明してくれた。

 彼が言うには……

 彼は私と会ったあの日、私が風邪をひきかけているのを見てあるアイデアを思いついたそうだ。私が風邪であることを利用し、主人を欺くつもりだったらしい。

 当初、私とのメールのやりとりは極力避けるようにしていた。主人に見られてしまうかもしれない事を考慮しての事だったが、亮介さんはそれを逆手に取った。
 彼からのメールが、間違いメールである、と主人に思わせようとしていたのだ。

 最初に亮介さんから受け取ったメール。それは紛れもなく私に宛てたメールだった。そのメールを見た主人は当然、私の事を疑い始める。

 風邪をひいている本人のもとへ、風邪をひいていないか? と心配するメールがきたのだから、主人は絶対に亮介さんが私を心配してメールを送ってきたのだと思ってしまう。

 私を疑い始めた主人は、当然、私のメールを頻繁に確認する行動へと出るはずだ。その際、主人は亮介さんの書き換えたメールを見るはずである。

 そこには、私が友人と待ち合わせをしてランチを食べに行ったと思わせるメールが存在している。主人は私が友達とランチを食べに行ったと思って安心する。

 その後、亮介さんからのメールが私の携帯に届かなければ、主人が見た彼からのメールは間違いだったということになり、主人の疑いは晴れ、もう私の携帯を探ることはなくなる、と、亮介さんは考えたのだ。

 先日、彼は私が風邪気味であることを知った瞬間にそのことを思いついたそうだ。改めて彼の頭の良さに感心する。彼と一緒ならば、この先どんなことがあっても大丈夫という安心感さえ抱いていた。

 私は、彼と交わしていた二回目の約束を待ち望みながら日々を過ごした。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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