幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

秘密-すれ違う二つの心-(27)

   

創の元へ送られて来た智美の写真。
男と一緒にホテルの中へと消えていくその写真の裏に書かれた言葉に、創は驚愕した。

智美の不倫現場の写真の裏側に書かれたメッセージ。自分への恨みを示された創は、一連の出来事が智美の不倫相手である『亮介』の手によるものだと思い始めるのだが……

 

秘密(27)

『お前が俺の幸せを奪ったように俺も……』

 写真の裏にかかれてある文字を見たあと、背中に嫌な汗が滲んでいるのが自分でも分かった。名指しでの脅迫文。この写真を送りつけてきた人物が俺に恨みを抱いているのは明らかである。だけど一体何に対して……。

 これまで人に恨みを買うようなことをしてきた覚えはない。ただ一つの事柄をのぞいて。

 だが、それはあり得ないことなのだ。彼女はもうこの世にはいない。死んだ彼女が俺に復讐できるはずもない。あのことを知っているのは俺と剛の二人だけだ。

 剛が俺を恨む?

 いや。そんなバカな話はない。あの事件が元で剛に危害が加わることなど全くないのだから。それに剛とは先日偶然再会したのだ。すべてが剛によって仕組まれたとしても、偶然にあいつの切り盛りする店に立ち寄るなどという確率は奇跡に近い。剛は全くの無関係だ。

 剛以外、あの事件の事はしらない。あの日、現場の近くにいた智美でさえもそのことは知らないのだから。

 テーブルの上に並べた三枚の写真を眺めながら考えた。智美と男が一緒にいる写真を俺に送りつけてくるということは、俺を追い込み苦しめようとしているということだ。

 それは裏に書かれていた『罪を償うときがきた』という言葉にも裏付けされる。送り主は俺を苦しめようとしてこの写真を送りつけてきたのだ。
 となると、こんな写真を撮れる人物といえば、思いつくのは一人しかいない。

 亮介だ。

 奴は俺に対す恨みを晴らすために智美に近づいた。奴は智美を利用し俺を苦しめようとしているのだ。
 となると、智美は被害者だ。智美は俺のせいで亮介に利用されているだけなのだ。それなのに俺は黒田マユと……。

 心の奥底から湧き起こる激しい嫌悪感。それは亮介に対するものでもなく、智美に対するものでもない。亮介の策略にまんまとはまり、智美を傷つける行為をしてしまったことに対する自分に対するものだった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


コメントを残す

おすすめ作品