幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

秘密-すれ違う二つの心-(29)

   

亮介に騙されていると告げるも、それを全く信用しない智美。
彼女は創が浮気をしている証拠写真を突きつけ、騙しているのは創の方だと啖呵を切った。

証拠を突きつけられた創は言い訳することが出来ない。
目の前から去ってゆく智美の背中を、ただただ見つめる事しか出来ない創の携帯に、亮介からメールが届くのだが……。

 

秘密(29)

 俺はすぐさまあたりを見渡した。このタイミングで俺のケータイにメールが届くなんて……。

 亮介がすぐ近くにいるということか?

 注意深く辺りを見渡すが、それらしき人物は見当たらなかった。
 幼稚園から離れ、近くにあった公園のベンチに座る。自販機で買った缶コーヒーを啜りながら、俺は亮介について考えた。

 いったい奴は何者なんだ?

 亮介

 俺に恨みを持つ男

 恨み

 恨まれるような出来事

 あの湖で自殺を図った女子大生

 頭に浮かぶキーワードを繋げ、過去の記憶を遡る。俺は過去に亮介に会っているに違いない。そうでなければ、奴が俺のことを知ることはないはずだ。どこで会った? どこだ?

 俺は過去の記憶を探るようにじっと目を閉じ、あの日の光景を思い出していた。

 火照った体の横をすり抜ける、ひんやりとした高原の空気が心地良かった。爽やかな風が優しく頬を撫でてゆく。汚れのないどこまでも澄んだ空気が羨ましかった。俺はまた……自分を汚してしまった……。

 山岳部のメンバーはすっかり酔いつぶれていた。一緒に盛り上がった女子大の女の子たちも、コテージの近くに設けられた、木製の大きなテーブルに突っ伏しながらスヤスヤと寝息を立てていた。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


コメントを残す

おすすめ作品

見習い探偵と呼ばないで! Season9-4

『蒼色推理』−雪銀館事件− 第四章「雪密室の謎」 1

見習い探偵と呼ばないで! Season20-14

自称天才数学者の推理記録 記録5 第4話

44口径より、愛を込めて episode2