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GunDaddy&GunDaughter~ガンダディ&ガンドーター~第8話

   

裏社会の店舗は意外な場所にある。
アンティークショップかと思ったら実は……ということもある。
そして街では、ある騒ぎが起きていた。

 

 黒く塗装されたサイドカー、クラウザー・ドマーニが片道二車線の市道を疾走している。
 やたらと目立つマシンであるドマーニを運転するのは京一、側車に乗るのは香音だ。葉子の事務所を後にした京一は、ある場所に向かっていた。
 美術館や博物館、図書館などが立ち並ぶ閑静な区画だ。京一のドマーニは、小さな建物の前で停まる。
 アンティークショップ―――それほど広くない店内には、古い家具や調度品などが所狭しと並べられていた。
「いらっしゃいませ……あ、神さん」
 店の奥から出てきた目の細い女性は、京一と香音の姿を見ると笑顔を浮かべた。
「父なら地下にいますよ」
 京一は香音を連れて店の奥に足を運ぶ。狭い階段を下り、防音扉を開ける。一階は古い家具が放つ匂いで満ちていたが、地下は炸薬や油の匂いで満ちていた。
 十畳ほどの部屋で、金属の作業机といくつもの棚が置かれている。作業机では、一人の老人が拳銃を組み立てていた。髭と皺で顔を覆った小柄な老人。七十過ぎだが、目には力強い光が宿っている。
「よう、オヤジさん」
「神か。おお、香音ちゃんも一緒か」
 作業の手を止めた老人は、香音にニコリと笑顔を見せた。
「こんにちは、オジサン」
「何だよ、俺一人の時は笑顔を見せないくせに」
「男に愛想を振り撒いてもしょうがなかろう。ああ、お前がこの前持ってきたUSPコンパクト、三挺売れたぞ」
 売ったのは、ちゃんとしたプロだと老人は断りを入れた。
「今日はどうした?」
「《ビューティフル・ワールド》、知っているか?」
「拳銃をバカみたいな安値で売っている連中じゃな。残念だが、何の情報もないぞ」
 老人は、プロに銃を売る売人だ。売るのはプロだけ、素人にはいくら金を積まれても決して売らない。売人の鑑のような男。
「そうか、オヤジさんなら何か知っているかと思ったが……」
「すまんな」
「いいさ、別に。来たついでだ。弾丸を買っていくよ」
 .45口径の弾丸が詰まったケースを持った神親子がアンティークショップを後にしてから数分後、一人の女性が訪れた。
 金髪の美女、セラリアだ。
「いらっしゃいませ。何かお求めですか?」
「岩鉄(がんてつ)オジサンはいるかしら? ここを紹介されたのよ。紹介したのは駅前のオジサンよ」
 信用している人間からの紹介……それを聞いた目の細い女性は、「こっちです」とセラリアを店の奥に案内する。
「父は……岩鉄は地下にいます」
「ありがとう」
 岩鉄……岩田鉄次郎、斗紀桜府に何人かいる銃の売人。
 扱っているのは、主にハンドウェポン―――拳銃やサブマシンガン、アサルトライフルなど。ただの売人ではなく、凄腕のガンスミスでもある。
 京一のような賞金稼ぎだけではなく、斗紀桜府にいるプロの多くが彼を頼りにしていた。
「駅前のオジサンから紹介されたんだけど」
 外人の客が来たので、岩鉄は英語で応対しようとしていた。だが相手の口から紡がれたのは、綺麗な日本語。岩鉄は「ほう」と声を漏らす。

 

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