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ラブストーリー

LOTUS 〜Next to Narita 2〜 <前>

   

「光輝のケータイに、青柳のママさんから連絡が入ってきてる」
「青柳って……もしかして、るねるねのお母さんから?」
「しかも、この10分間で立て続けに3回」

LOTUS』 ―光輝×瑠音―
≪光輝*高等部1年生*2月≫

Illustration:Dite

 

 今日、こーちゃんと両想いになれたよ(^-^)
 告白されて、チュウまでされちゃったvvvvv
 今まで僕のこと、いっぱい応援してくれてありがとう!

 これからも、何かあったら相談するね。
 何もなくても、また絶対メールするからね!  *RUNE*

 中等部1年5組の青柳瑠音くん。
 うちの学園の一番人気の男の子で、愛称は「るねるね」。
 実はわたしは、るねるねの「ヒミツのお姉さん」だった。1学期が始まってすぐの頃、とある恋愛コミュニティ・サイトで、るねるねの「話を聞いてくれるお姉さんがほしい」という書き込みを見つけて。それにレスをしたのがきっかけになって、るねるねのメル友になってしまったのだ。以来、るねるねのカワイイ恋愛模様を、遠くからそっと見守り続けてきたんだけど。
(遠くから……じゃないのよね、実は。なんせわたし、るねるねのカレシくんの隣に座ってるんだもんねぇ)
 成田くんのいない休日を、一体どんなふうに過ごしているのやらと思いつつ、中等部時代のクラスメイトで親友で、今回はわたしたち女子A1班の班長になってくれた若葉ちゃんと一緒に廊下を歩く。高等部恒例のスキー授業2日目も無事に終わり、各班の班長と規律委員による班長会議も滞りなく終わって、わたしたちは女子A1班に割り当てられた宿泊室に戻った。
「たっだいまでーす」
「あ、柚木崎さん、本多さん、おつかれさまー!」
「ごめん、あたしと代田さん、先にお風呂に行ってきちゃった」
「うん、いいよぉ」
「本多さん、今日の会議、どうだった?」
「ケータイの違反者もいなくて、本日も100点満点ってとこ♪」
「そう、良かったね」
 今回のスキー授業の大きな特徴は、携帯電話の使用が原則禁止されたことだった。来春から区の公立校で携帯電話の使用制限が始まるため、うちの学園も足並みを揃えることになったらしい。現行の理事会案では、高等部生は教室内での使用禁止、中等部生はなんと校内全域での使用禁止が予定されていた。
(だからって別に、るねるねからのメールが来なくなっちゃうわけじゃないんだろうけど)
 部屋に残ってみんなの荷物番をしてくれていた西堀さんが、「規律委員さんにごほうびv」と言って、わたしの手に星型のホワイト・チョコレートを乗せてくれる。それが引き金となって、わたしの胸に「こーちゃんと2人で星を見に行ったんだ♪」という、るねるねからのメールが思い浮かんだ。
(でも……ゼロにはならなくても、やっぱり回数は減るよね)
 学園内での「ケータイ使用制限」は、わたしたち生徒にとってはカナリ痛くて、るねるねなんかヒマな日の放課後によく教室や花水木のベンチからメールを送ってくれていたから、少なからぬ影響が出そうだった。
(ううん、ケータイの使用制限なんかなくても、減るに決まってる。だって「ラブナビのお姉さん」は、もうお役御免なんだもん)
 るねるねと成田くんのもどかしかった恋も、るねるねの13歳のお誕生日にめでたく成就して、2人は晴れて両想い。成田くんも、まさか隣の席に座っているわたしが、成田くんたちの恋の進展具合を全部知っているだなんて、夢にも思わないだろう。だって、るねるねったら、現状をみ~んなメールに書いちゃうんだもの。素直というか、無防備というか……おかげでわたしは、この1年間でポーカー・フェイスが異様に上手くなってしまったのだった。

 

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