幻創文芸文庫 (β)

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SF・ファンタジー・ホラー

我が主君!!【1】

   

※作品中にガールズラブ的展開があります※

諏訪みちるはごく普通の女子高生。隣家に住む美人四姉妹の三女・藍子はみちると同い歳の幼なじみで、二人は大の仲良し。
藍子と買い物にいく予定の日曜日の朝、みちるは大鎧を着けた武者たちの合戦の様子を夢に見て…。

美しい少女たちが織りなす、平安後期×現代の転生ストーリー!

 

 寄せ手は当然、奇襲のつもり。
 守るほうもまた、奇襲は予想のうち。
 開戦の合図もなく始まった戦いは、あっという間に混戦の様相を呈した。
 敵味方入り乱れての戦闘をぐるりと見渡し、鐙(アブミ)に踏ん張って立ち上がった、あの紺糸威(コンイトオドシ)の鎧姿も美麗な青年武者は、長峰小太郎興国(オキクニ)、齢(ヨワイ)二十三。美しくたくましい桃花馬の手綱取る手も見事。
「搦手(カラメテ)の三郎二郎がくるまで持ちこたえよ!!」
 大音声に呼ばわれば、味方の士気は鼓舞され、敵は加勢がくるのかと浮き足立つ。
 小太郎の龍頭の前立に、山の端(ハ)を出た朝日が反射し、きらきらと輝く。
 ほどなく、人馬の馳せ寄せる音が轟き、右手の丘の上から新手の軍勢が敵に寄せかかる。
 先陣切るのは丹生(ニウ)四郎。栗毛の馬の大なることと、乗り手のまとう甲冑の派手さに敵は目をむく。黒く塗り上げた小札(コザネ)を緋色の糸で威した鎧に、星兜のしころも同じ色遣い。吹き返しは地を黒に塗り、朱漆で燃えさかる炎を描く。
 この丹生を先頭にして、わっとばかりに寄せた新手を率いるのが、先ほど小太郎が名を挙げた長峰三郎二郎(サブロウジロウ)久光(ヒサミツ)。齢十九と若いながらも、初陣以来強運と強気とで挙げた軍功は幾多。
 すらりとした体に小桜威(コザクラオドシ)のすっきりとした甲冑を身にまとい、きらめく鍬形はまるで本人の印象を写して鋭利。ただし、鍬形台の獅子の表情がどこか人を食ったようなのが愛嬌。葦毛雲雀(アシゲヒバリ)の馬に置いた鞍は流水の蒔絵に螺鈿の桜。携えている笛籐の弓を振り上げ、味方に叫ぶ。
「我らがきたからには単純に数で倍だ! 勝ったも同然なれば、退くな、押せ!」
 味方はオオッとおめき、かさにかかって攻め立てる。
 三郎二郎は弓に矢をつがえ、黒毛の馬にまたがり目立って奮戦している、名のありそうな敵の将に狙いを定める。
 弦(ツル)が引き絞られる。
 きりきりと鳴る。
 三郎二郎の馬手(メテ)が矢を放した瞬間――、

 みちるはパッと目を開けた。

 

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