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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

秘密-すれ違う二つの心-(32)

   

亮介が長瀬課長だと知り、彼から全ての事実を聞き出すことを望む創にチャンスが訪れる。長瀬と智美のメールのやりとりから翌日会う事を知った創は、待ち合わせの場所へと先回りし、二人が来るのを待っていたのだが……。

 

秘密(32)

 亮介は長瀬課長だった。最近、会社にいないことが多かったのは、平日の昼間に智美と会うためだったのか。智美を俺から奪い、恋人を奪われた恨みを晴らすために……。

 森の中で偶然ぶつかったのが長瀬課長だったということか? 

 記憶の中の亮介と長瀬課長を重ね合わせる。

 もう何年も前のことだ。しかもまじまじと相手を見ていたわけではない。長瀬課長だと言われればそうかもしれないし、違うと言えば違うかもしれない。

 だが、今はそんなことはどうだっていい。このメールが亮介=長瀬課長だと教えてくれているのだから。曖昧な記憶よりも、実際に手の中にある確かな情報。亮介はやはり長瀬課長なのだ。

 長瀬課長と二人で話がしたい。過去のこと、そして智美のことを含めて課長と話がしたい。今後のことは、課長と話をしてから考えよう。自首するのか、それとも……。

 そう思っていた俺に、願ってもないチャンスが訪れたのは、次の日の朝の事だった。

 いつものようにパソコンを立ち上げ、受信メールに目を通す。智美と長瀬課長のやりとりが、俺のパソコンに届いていた。課長のデスクに視線をやる。課長はまだ、出社していなかった。

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド