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ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

秘密-すれ違う二つの心-(34)

   

 このときほど神の存在をはっきり意識したことはなかった。神が……いや、優美が俺にその時がきたことを教えてくれたんだ……。

 

秘密(34)

 俺は屋上にある浄化漕の陰から、息を殺して二人の会話に耳をそばだてていた。何年も待ち続けていたチャンスの到来に、体中が震えているのがわかった。緊張で喉が乾く。残っていた缶コーヒーを一気に飲み干し、地面にそっと空き缶を置いた。

「本当に協力してくれるんですか?」

「ああ。任せとき。そうかあ、マユちゃんが創のことを好きやったとはなあ。まあ、薄々は感じとったんやけどな」

「さすが渡利さんですね。こういうことに関してはとても頼りになります」

「こういうことだけは余計や。でもマユちゃんのおかげで、俺も創の嫁さんにお近づきになれそうや。お互いこの恋を成就させるために全力を尽くそうな」

「はい。よろしくお願いします」

「ほなもっと二人の仲を深めるために、今夜あたり……どうや?」

「お断りします。私は創さん一筋ですから」

「いややわ。そっちやなくて、今夜一緒に食事をしながらこれからの事を考えようやということやんか。深い意味はあらへん」

「ほんとにぃ」

「俺、ほんまに信用ないんやな」

「いつもがいつもですから。でも本当に下心がないなら、食事ぐらいはいいですよ」

「ほんまか? じゃあ今日の八時に駅前の居酒屋で」

 

-ミステリー・サスペンス・ハードボイルド


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