幻創文芸文庫 (β)

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SF・ファンタジー・ホラー

我が主君!!【6】

   

※作品中にガールズラブ的展開があります※

「今度こそ、あたしたちは御曹司を一人にはしない。今生におけるこの命は、つまり、やり直しのチャンスなんだわ」
「そうだけど、そうじゃないわ。みちるは、御曹司の生まれ変わりだけど、御曹司とイコールじゃないもの」

香子が加部三郎兵衛から得た情報を分析した四姉妹は、今後も全力でみちるを守ることを確認し合う。

その数日後、お使いの帰りに鴇子と出会ったみちるの前に、みたび怨霊たちが現れて…。

 

 坂城家の、紅子と香子の部屋に、普段着姿の四姉妹が集まっていた。
 香子は自分の勉強机のチェアに腰掛け、紅子のチェアには鴇子が座り、香子のベッドに藍子が腰を下ろし、紅子は自分のベッドに座っている。
「それでね、加部三郎兵衛の奴、『我ら一党、御曹司を旗印と成し、源氏を再興するのだ』なんて言ってたのよ」
 香子が言うと、藍子が肩をすくめて、
「一体、どこの世界で源氏の再興をする気なのかしらね?」
 鴇子がうなずいて、
「そうだよねえ……? 今はもう二十一世紀で、源氏も平氏も関係ない世の中だもんね」
「それはやっぱり、アレじゃない? あの世とやらのどこかに、いわゆる修羅道みたいな、戦争好きたちの墜ちる場所があって、そこで相変わらず覇権争いでもしてるんじゃないかしら?」
 と紅子。藍子が「うわぁ……、いやだな、それ」と顔をしかめる。
「そんな最悪な場所、あったとしてもあたしはいきたくないし、ましてやみちるをそんなところになんか絶対やれないわ」
「わたしもいきたくない」
 と、鴇子が同意した。
「あとね、三郎兵衛が面白いこと言ってたよ。あたしたち四人のうちのだれかと一緒でないときは、あちらさんは御曹司の居場所が分からないんだって」
 紅子が目をまたたいて、「あら、それは好都合ね」と応じた。
「でしょ? あたしたちがいないところを狙われる心配がないものね。……でもなんか、不穏なことも言ってたなぁ。自分たちも日々力を蓄えているんだから、そのうちに形勢が変わるぞとかなんとかって……」
「ハッタリじゃないの?」
 と鴇子。
「ハッタリならいいんだけどね」
「そうね、今はまだどちらとも決めかねるわね」
 紅子は、そう言ったあとで、ふと、藍子が難しい顔をしているのに気づいた。
「どうしたの、藍子?」
「……ねえ」
「なあに?」
「もし、みちるがあたしたち姉妹と一緒でない限りは狙われないのだったら、あたしたちがみちるから離れていればいいの……? あたし、みちると一緒にいちゃいけないの……?」

 

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