幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

我が主君!!【7】

   

※作品中にガールズラブ的展開があります※

鴇子は、ワンピースの中にはいたパニエを見え隠れされながら、怨霊たち相手に太刀を振るう。

もうすぐ全て倒しきる――と思ったそのとき、立派な甲冑姿の大将に率いられた新手が現れた。
物怖じせずに対峙する鴇子。
「とりあえず、派手な鎧のおじさん、名前教えて」

鴇子のペースに巻き込まれて敵が苛立つところへ、一筋の矢が飛来して…。

 

 相も変わらず二十体余りの、青白く、顔もない雑兵たちが鴇子の前に並んだ。
 鴇子の手には、空間から忽然と表れた、鴇色に光る刀が一振り。
 鴇子はその美しい武器を自然と提げ、慌てることもなく怨霊たちに正対していた。
 人形じみた細身の美少女と、怪しい者たち。
 そのコントラストは、まるで、作り物の空間のよう。
 ぞろりと、怨霊たちの一角が動いた。
 薙刀を持った一体が、やにわに鴇子に襲いかかった。
 鴇子は軽やかに地を蹴り、薙刀の刃を刀で受けて流して、流れるような動作でそのまま怨霊に斬りつけた。
 怨霊の体が音もなく霧散する。
 それを合図としたように、複数体の怨霊たちが一斉に刀や薙刀を振り上げた。
 鴇子は、まずは刀の届く範囲の者どもを斬り伏せ、体勢を立て直しつついったん後ろに下がり、再び鋭く斬り込んだ。
 黒ならびにベージュのレースやフリルのついたワインレッドのワンピースの短いスカートが揺れると、中にはいたレースたっぷりのベージュ色のパニエやドロワーズが見え隠れする。すんなりと伸びた細い脚には、ベージュのリボン刺繍と黒レースを飾った、黒のオーバーニーソックス。足もとはワンピースと同じ色のワンストラップシューズ、ベージュのリボン付き。
 黒くつややかなツインテールが、所作にしたがって大きく動く。縛ったところに結ばれている、ワインレッドの太いサテンの中央にベージュの細レースを縫い付けたリボンが、端をヒラヒラさせる。
 鴇子に襲いかかった体勢のまま斬られ、前のめりになりながら姿を失おうとする怨霊の成れの果てである黒褐色の霧が、鴇子のワンピースのスカートの端にかかった。
 途端、
「なにするの!!」
 と鴇子が叫び、苛立たしげに、目の前の怨霊を一体、思い切りよく袈裟懸けに斬った。
「お姉ちゃんたちに買ってもらったお気に入りの服が汚れるじゃない!!」
 怒りにまかせて、鴇子は刀を振るう。気が昂ぶってはいても、所作に乱れはない。正確な斬り込みと隙のない動きで、残りの者たちを倒していく。
 もうあと一体で全て倒しきる……と思った、そのとき。
 灰色のもやの後ろから、立派な甲冑をまとった大将に率いられた別の一隊が現れた。
 眼前で霧散した最後の怨霊の向こうにそれを見て、鴇子は、細く形のいい眉をつり上げた。

 

-SF・ファンタジー・ホラー


コメントを残す

おすすめ作品