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ラブストーリー

LOTUS 〜You are my sunshine〜 <中>

   

「わたしもー、真理ちゃんのことがー…………好きー…………」
「ヒナ!」

『LOTUS』 ―光輝×瑠音:真理×日向子―
≪光輝*高等部1年生*2月≫

Illustration:Dite

 

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・*・ まりちゃん だいすき ・*・ 
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 チョコレート色のフェルトでコースターを作りはじめたものの、何が気に入らなかったのか、日向子は途中で計画を大幅に変更して「トリビット」を作りはじめた。「トリビット」というと何やらカッコ良く響くが、なんのことはない、単なる鍋敷きである。
 作っている最中に、チョコレート色よりも若干濃いココア・ブラウンのフェルトが大量に見つかり、どうせなら新生活により役立つものをと、急遽予定を変更したのである。型紙はダイニングの瑠音専用戸棚にしまってあるバターケーキ型をうまく利用し、かわいらしいマーガレット型ということに相成った。
 そんなこんなで、世界が夜明けを迎えた頃――遠くから見ると、特大のココアサブレに白とピンクのアイシングで模様やメッセージが書いてあるような、そんな感じの素敵な鍋敷きが出来上がったのだった。
「真理ちゃん、喜んでくれるかなー」
 針と糸を手に一睡もせずに夜明けを迎え、恋心のすべてを込めてラッピングを終えた日向子は、そっとカーテンを開け、少しだけ窓も開けて、まぶしい朝日に目を細めた。
「わあ、雲がひとつもなーい」
 今日は日本全国、想う人に愛を告げる日。
 早春の朝日が顔を覗かせるまでいま少し、まだ冬の寒さがそこかしこに残っているものの、春の訪れを約束しているような、素晴らしい晴天である。済み切った青空を仰ぎつつ、日向子は大きな伸びをすると、忙しくなるこの週末の予定を反芻した。
 瑠音は本日めでたく退院し、明日の昼は成田家で自分と瑠音の快気祝いが催される。これは成田家&青柳家の面々だけでなく、事故当日に病院に駆けつけ、翌朝まで付き添ってくれた真理も招くことになっていた。そして瑠音は週明けの月曜日から、半月ぶりに登校することになっている。瑠音や日向子を知る人々の願いが天に届いたのだろう、来週からは、何もかもがすっかり元通りになるのだった。
「真理ちゃんはー、今日もお昼からアルバイトだからー」
 手芸に夢中になりすぎて、肝心の「渡すタイミング」を失念していた日向子は、再びむーんと考え込んだ。本日は土曜日、真理は午後から例の邸宅喫茶でのアルバイトが入っている。となると、きちんと時間が取れるのは授業開始前の朝のひとときか、真理のバイトが終わる夕方以降しかなかった。
「できればー、今日のー、一番最初に渡したいなー」
 時計に目をやれば、6時を少し過ぎたところ。
 これからすぐに身支度を整えて登校すれば、7時20分には女学院に着くだろう。日向子はしばし迷ったものの、ピュアホワイトの携帯電話を手に取り、朝の苦手な真理に悪いと思いつつ「おはよう」メールを送った。できることなら、今日の自分の時間に合わせて、教室に来てもらいたかったのである。
 返信が来るだろうかと気にしながら時間割を整えていると、真理も眠れない一夜を過ごしたのか、「じゃ、天使サマの前で」という返信が入った。

 

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