幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

SF・ファンタジー・ホラー

我が主君!!【16】

   

※作品中にガールズラブ的展開があります※

田丸二郎太と名乗った鎧武者は、藍子たちに「御曹司を渡せ」と言う。藍子らは拒否し、武具を取っての戦いとなる。
雑兵を片づけ、二郎太も逃げ去ったあとで、藍子は自分が怪我を負っていたことに気づく。
藍子の怪我を知って駆け寄ったみちるが藍子の手を取ったとき、不思議なことが起こり…。

 

 新顔の怨霊武者を前にして、 すかさず鴇子が叫んだ。
「おじさん、だれ? ――あ、人に名前訊くときは自分から先に言えって、野平のおじさんに言われたんだっけ。あのね、わたしは坂城鴇子だよ!」
 隣で香子がウケて笑っている。
「いいわ~、鴇子。アンタ大好き」
 武者は面(オモテ)に怒りをにじませて鴇子を睨む。
「生意気なおなごめが。――わしは武藤右馬允(ウマノジョウ)さまが乳母子、田丸二郎太(ジロウタ)じゃ。悪若四天王に用はない。御曹司を置いて早く立ち去れ。大人しく御曹司を渡せば、おぬしたちは無事返してやろうぞ」
「だれが渡すもんですか」
 藍子が冷たく言い放ち、慣れた手つきで箙から鏑矢をひと筋引き抜いた。
「ってゆーかさぁ、意味分かんないよね。その手がダメだったから、今こういう状況になってるんじゃん」
 香子が呆れたように言う。鴇子も「そうだよ」と言った。
「その交渉は、もう、ナントカ三郎兵衛っていう人と野平のおじさんがきて、やったんだよ? 二郎太おじさん、ちょっと時代遅れ」
「黙れ!」
「あ、怒った」
 香子と鴇子が顔を見合わせてケラケラと笑った。紅子が苦笑の表情で「血の気の多そうな人をからかうのはその辺にしときなさい」とたしなめる。
「紅子ちゃん」
 と、藍子が姉に呼びかける。
「そろそろ開戦の合図でいいかしら?」
 そのセリフに、香子は薙刀を握り直し、鴇子は太刀を引き抜く。紅子はそんな妹たちを見て、いったん視線を田丸二郎太とその後ろの怨霊たちへと向けた。
「そうね。いいわよ」
「じゃ、始めるわ。みちるのこと守っててくれる? あの数なら三人でどうにかできるから」
「分かったわ」
 紅子はワンピースの裾を揺らして、みちるを促して後ろへと下がる。そして、「これ、持っててくれる?」と弓をみちるに手渡し、自分は太刀を抜く。
 それを確認して、藍子は矢をつがえ、空へ向けて強く引き絞った。

 

-SF・ファンタジー・ホラー

アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第34話「それでも――――」

   2017/11/20

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】15

   2017/11/20

ロボット育児日記39

   2017/11/17

忠実な部下たち

   2017/11/17

モモヨ文具店 開店中<36> ~帰り行く者~

   2017/11/16