幻創文芸文庫 (β)

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SF・ファンタジー・ホラー

我が主君!!【18】

   

※作品中にガールズラブ的展開があります※

「加部三郎兵衛ともども悪若四天王を片づけてしまえ!」
田丸二郎太の言葉に、「まさかの仲間割れ!?」と藍子たちは驚く。
が、彼女ら以上に驚いたのは三郎兵衛だった。二郎太に「右馬允さまにとっては、所詮そなたも捨て駒に過ぎぬということよ」と言われ、三郎兵衛は怒る。
香子の提案で、三郎兵衛はいったん香子らとは休戦にして、二郎太軍と戦うことになり…。

 

「えっ、どういうこと!?」
「まさかの仲間割れ!?」
 鴇子と香子が思わず声をあげた。
 が、それ以上に驚いた顔をしたのは、当の加部三郎兵衛だった。
 太刀を握りしめ、田丸二郎太を睨み据え「なんのつもりだ!?」と喚いた。
「隣の男はだれだ!?」
 二郎太に並んで手綱を握る武者はニヤリとして名乗った。
「わたしは守山平太(モリヤマヘイタ)。平播磨守(ハリマノカミ)さまにお仕えする者ぞ」
 途端、三郎兵衛は眉を跳ね上げた。
「なぜ平氏が二郎太とともにおる!?」
 二郎太が顔をゆがめて笑う。
「話せば長くもなる。それに、話したところで、おぬしのような猪武者には物事の機微は分からぬであろう。とまれ、右馬允さまにとっては、所詮そなたも捨て駒に過ぎぬということよ」
「なにィ!?」
 怒りを表した三郎兵衛にはもはや視線も向けず、二郎太は背後に従う兵たちに向けて手を振り上げ、命じた。
「かかれぃ! 御曹司は生け捕りに、それ以外はすべて斬り捨てよ!」

 香子が三郎兵衛に向けて叫んだ。
「三郎兵衛、こっちは一時休戦にしましょ! とにかく先に、力を合わせてあの裏切り者どもを片づけるわよ!」
 振り向いた三郎兵衛は、数瞬、香子と視線を合わせ、決意したように「分かった!」と答えた。

 辺りは、あっという間に、先ほどまで以上の混戦となった。
 紅子と鴇子と三郎兵衛は太刀を振るい、香子は薙刀で敵を倒していく。

 成り行きを見守っていた藍子は、紅子たちに加勢しようと、弓を手に取った。箙から矢を抜こうとして「あら」と呟いた。
「どうしたの、藍子?」
「見て、これ。さっき使った分の矢が、知らない間に補充されてるの」
「え? あ、ホントだ。使っても使っても矢がなくならない箙なのね?」
「便利ね」
 感心したように言って、藍子は征矢をひと筋引き抜き、慣れた手つきで弓につがえた。
 間違っても紅子たちに当ててはならない。
(となれば、紅子ちゃんたちから一番遠い辺りにいる敵を――)
 きりきりと弦を引きしぼり、砂煙の奥で、馬上から戦いの様子を眺めている田丸二郎太へと狙いを定めた。
(落馬させるだけでもいいわ)
 矢が弓を離れた。

 

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