幻創文芸文庫 (β)

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SF・ファンタジー・ホラー

我が主君!!【19】

   

※作品中にガールズラブ的展開があります※

砦跡で、四姉妹とみちると三郎兵衛は、今後のことについて話し合う。
「三郎兵衛はこの先どうするの? あたしたちと一緒に戦う?」と問う香子に、三郎兵衛は「おぬしたちがよければ、おぬしたちとともに戦わせてくれ」と答える。
そこへ、野平五郎が一人でやってくる。彼を見るや、紅子は突如、弓矢を向け――。

 

 荒野のただ中に打ち捨てられた砦は、ところどころ壊れていたり傷みかけたりしていたが、思ったほど状態はひどくなかった。
 矢倉のついた門から中に入り、四姉妹とみちると三郎兵衛は、指揮を執る将がそこに座すのであろう建物の、広縁に腰を下ろした。
 三郎兵衛は兜を取った。
 藍子たちは「服がほこりになちゃう」「もう砂ぼこりで汚れまくりだからいいじゃない」などと口々に言いながら自分の場所を確保する。
 藍子が、ひょいと目をやった先の三郎兵衛を見て、「あら、案外若いのね」と言った。
 だが、三郎兵衛はそれに応える気にもならないらしく、沈んだ面持ちで一つため息をついた。
 紅子が三郎兵衛に向かって言った。
「この状況が不本意、という感じね?」
「いや……、予想外ではあるが、不本意だとは思っておらん」
「あら、そう?」
「うむ。今、おぬしたちとこうして話していることは、よいのだ、べつに。だが……なぜ田丸二郎太が平氏とともにいたのか、わしまでを亡き者にしようとしたのか……」
 香子が、いたわるような視線を三郎兵衛に向ける。
「今のところはいろいろ納得いかないことばかりだろうけど、よければ、三郎兵衛の知っていることを話してくれない? あたしたちの持ってる情報と組み合わせたら、少しは筋道が分かるきっかけになるかも」
 顔を上げた三郎兵衛は、香子を見つめた。
 それから、ゆっくりと口を開いた。
「わしはこの世界で、武藤右馬允さまに仕えてきたのだ」
「鎌倉御家人だった武藤家の総領ね」
「うむ。右馬允さまは、衣伏山の御曹司を旗印となして、この世界で源家を再興し、修羅獄界を源氏のものとしたいと言っておられたからだ。さらに、目的の達成された暁には、わしをしかるべき地位に就け、宮仕えの美しい女房を妻に世話してくださると約束された」
「……加部のおじさんには悪いけど、そういう約束って、目的が達成された瞬間に破棄されるのが、映画やドラマでのお約束だよ……」
 気の毒げな瞳で、鴇子が呟いた。横にいる藍子が小声で「やめなさい」とたしなめた。

 

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