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ラブストーリー

jaloux

   

【青色症候群】などの続編です。

久しぶりのふたりっきりの時間。

なのに突然不機嫌になった八尋の、
意味不明な行動。

亜子にはさっぱり、判らない。

 

「八尋くん! 待って―――ぇっっ!!」

 なぜだか急に不機嫌になった八尋が、アクセルを目一杯踏み込んで、亜子の前を通り過ぎていった。

「ぅ、わあぁん! 八尋くん!」

 いくら頑張って追いかけても、イタリア製の赤い跳ね馬にかなうはずもなく。
 その上亜子の足元は、履き慣れないヒールで。
 八尋の駆る跳ね馬は、太いタイヤをきゅるきゅるいわせ、白い煙を立たせながら走り去ってしまった。

「……」

 見えなくなってしまった八尋に、亜子はタイヤがこすれて立ち込めるいやなにおいに噎せ込みながら、茫然としてしまった。
 今まで、こんなことなかったのに。

(どうしちゃったの、八尋くん……)

 すん、と洟を啜り、溢れてきた涙を拭う。
 きれいなお洋服も、靴も、なにもかも。
 そばに八尋がいなければ、なんの意味もないのに。
 そう思うのに、今まで隣にいた八尋は、もう亜子のそばにはいなくて。
 亜子はひとり残されたこの場所から、とぼとぼと歩き出した。
 それにしても、八尋はなにが気に入らなかったのだろう?
 とぼとぼとひとり歩きながら考えてみる。

――ねぇねぇ、八尋くん。見たい映画があるんだけど、付き合って?

 いつものように、八尋の住むお屋敷で、
 何人ものちょっとコワモテのひとびとに、ご挨拶をしながら向かった八尋の書斎。

 

-ラブストーリー


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