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ノンジャンル

妬みの歯車 #1

   

主人公が高校に入る一年前の出来事を綴った#1

序章の中の序章のようなものでストーリーそのものの進展はありません

少女たちの友情と、同姓に憧れを抱くほのかな想いが絡まる、友情とGLが少し織り交ざった少しダークな内容ですので、ドロドロした内容や同性愛が苦手な方はご注意ください

 

「どうして? どうして! 友達だと思っていたのに!!」

 まだ大人になりきれていない少女の叫びが古い教会の中に響き渡った。

 薄暗いその場所にひとり取り残される恐怖よりも、ただただ信じていたものに裏切られた悲しみと問いかけの叫び。

 凛としたかつて輝いていた表情は見る影もない。

 その叫びに向かい合うもうひとりの少女の顔が失笑しながら呟く。

「都合のいい言葉よね、『友達』って……」

 呟きながらひとりの少女を置き去りにして、古い教会を後にした。

 ここは日本本土から少し離れた、とある人物が所有する島。

 個人所有できる島なので、広さもたかだか知れてはいるが、建物ひとつ立てて事業を始めるには充分な広さであった。

 その人物は自分の資財全てを投資して、その島にひとつの学校を設立した。

 『聖女学園』その名の通り、男を知らない清らかな少女だけが通うことのできる学校といえば聞こえがいいかもしれないが、本土から離れた場所にあるこの学校は隔離されているようにも見え、言わば外敵から守り飼育されていく籠の中の鳥そのものの状態と言ってもいい。

 それでも少女たちの憧れの学園であり続けているのには、政界や財閥のご令嬢が通い、この学園を卒業した生徒の多くが著名人との縁組に恵まれ更なる富を掴んでいるからだろう。

 そんなこの学園の生徒の多くはお金持ちと思われがちだが、全校生徒の7割とそう多くもなく、一般庶民は3割と、そう少なくもない。

 また、一般の3割とお金持ちの6割は島の中にある宿舎にて生活しており、一般も金持ちも差別なく、同じものを共有することで、格差による差別心を植えつけないよう教育もされていた。

 特殊とも思えるこの学園に進学しようとひとりの一般人が思ったのは、今から二年前の夏のこと。

 それまではこの学園の存在すら知らなかった、水島久留美(みずしま くるみ)がそんな希望を抱いたのは、インターネット上で知り合った、ひとりの少女との出会い。

 

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