幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ノンジャンル

カレシの名は零児 〜淫女たちの生存競争・外伝〜

   

“私のカレシは謎めいてる。クールで、そして危険な香り。でも本当にやばい人だなんて、その日追われるまで想像もしなかった……”「淫女」シリーズの零児の恋人が語るアクションドラマ。男性・女性どちらにもお楽しみいただけます。

 

「ねえ、零児ってなにやってる人?」

 そう訊くと、カレシはいつも困った顔をする。ほら、いまもそうだ。窓の向こうに目を逸らして、雑踏を眺める。
 平日の夕方にしては人出は多かった。私みたいに制服姿の女の子があまり歩いてないのは、ここのマックがセンター街から少し離れているからだと思う。
 店内を見回しても、やっぱり社会人同士のカップルが多い。皆額を突き合わせるようにして楽しくお喋りしてる。そう、今日はそういう日なんだ。

 店内で私たちは浮いてたと思う。髪を片っぽだけ結んだ女子高生と、高級な服に身を包んだ若い男性の取り合わせ。なんかやばそうな関係に見える。
 零児の前だと、制服姿でいることがなんだか野暮ったく思えてくる。いかにも自分が子供っぽく思えて、ちゃんとしたカノジョに見られてないんだろうなって。
 現にいまだって、ちゃんと質問に答えてくれようとしないし。

「れいな」
 はっとして顔を上げた。零児に名前を呼ばれると、いつもどきんとする。
 精悍で男らしいんだけど、いつもはかわいく目を細めてる彼が、いまは真剣な顔で私を正面から見据えている。
「本当に知りたいのか? 俺のやってること」
「う、うん」頷いた。いつか言おうと思ってたことを、思い切って口に出す。
「だって零児、私に何も教えてくれないじゃん。住んでる所とか、本名だって。私って零児のいったい何? って、ときどき思っちゃうよ」
「元ホストの楽しいお兄ちゃんじゃ駄目なのか?」
 相変わらず口調はクールで、でもどこか優しい。それは出会ったときからずうっとだ。そう、ふざけて友達とホストクラブに来た私を、穏やかに追い返したあの日からずっと。

 

-ノンジャンル


コメントを残す

おすすめ作品

不思議なオカルト研究部 第一話 蕎麦屋の石臼 前編

雨の国への帰郷

鐘が鳴る時 ■誓い-天麻皇女 5

ノーベットノーペイ

チャイナ 前編 古都天津

アストラジルド~亡国を継ぐ者~アグランド編 第34話「それでも――――」

   2017/11/20

探偵の眼・御影解宗の推理 【嘆きの双子】15

   2017/11/20

ロボット育児日記39

   2017/11/17

忠実な部下たち

   2017/11/17

モモヨ文具店 開店中<36> ~帰り行く者~

   2017/11/16