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SF・ファンタジー・ホラー

よろず代行株式会社(上)

   

多額の借金に苦しむ藤田 順也は、高校時代の友人で金融業を営んでいる鈴木 武文を頼った。
方々の借金を一本化することには成功したものの、借金の膨大さに加え、藤田の金遣いの荒さが響いて、借金は膨れて行く一方。
鈴木は、名門国立大に合格し、優秀な成績で卒業するなどの条件をクリアすれば、借金をチャラにし、職員として採用する。しかし、できなければ強制労働だとの条件を突き付ける。

必死で受験勉強に取り組むことになった藤田だったが……

 

「長引く不況の影響、そして、高学歴志向もあって、国公立大学の倍率は、例年にないほど高いものとなっています。特に、名門とされるいくつかの学校への受験意欲は凄まじいものがあり、予備校などの受験産業にも人気が高まっています。これを受けて政府は……」
 藤田 順也は、首を左右に激しく振って、テレビの電源を消した。
 現実から目を逸らしても何の解決にもならないのは分かっている。
 しかし、受け止めるには、あまりに重い現実でもあった。
「うう……マジで勘弁してくれよ。安くて得なのは分かるけど、私大にしてくれよ、本当さあ」
 やり場のない怒りと不満が藤田の口からついて出る。
 将来を展望している若者に対して、あまりに理不尽な言葉ではあるのだが、止めることができない。
 こちらにだって、事情があるのだ。
 三十八歳、私大卒業。
 こうした経歴を持ち、一度は、中小企業の重役という、基本的に学歴を問われない立場にまで上り詰めた藤田だったが、どうしても、国立大に入学しないとならない事態に直面していた。
 しかも、全国でも十本の指に入る名門大への切符を手にしなければならないのである。

 

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