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ラブストーリー

Black Blood Christmas #4【汝に裁きを】

   

政幸に忍び寄る復讐の魔の手

何かがある、危機にも似た違和感を感じながらも須藤の誘いに乗る政幸だが…

※同姓強姦シーンが軽く入ります

 

 時計の時刻が午後2時をさす、須藤が田沢政幸に指定した時間。

 この時点で、政幸はこのスタジオにいない。

 やはり、来ないか――そう須藤が諦めかけた頃、スタジオの扉が開いた。

「やあ、お兄さん。来ないと思ったよ」

「――その、お兄さんって呼ぶのは、やめろ」

「了解。じゃ……旦那さん? それとも田沢くん――かな?」

 三日前とは違い、少しだけ気持ちが外に出始めているのか、相変わらずの態度だが、それなりに受け答えはしてくれるみたいだ、そうでなくては面白くない。

 これから一気に加速つけて落ちてもらうのだから。

 這い上がって来られないくらい、深い深い地の底に――

 須藤の横で寛史ことジェニファーが田沢政幸を品定めしている。

 上から下へと舐めるように見て一言。

「大丈夫。イケるわ」

「そう? じゃ、頼んだ」

 ふたりにしか通じない意味を込めた会話が終わると、スタイリストに誘導され政幸がスタジオから一時姿を消した。

 再び戻ってくると、須藤の姿はない。

 自分に対し不快な視線で見ていた女は、隅の方にただ立っているだけ。

 政幸は怪訝そうな顔をしたが、何度か撮影スタジオにも仕事柄足を運んだことがある。

 こうやって少ない人員でこなすことも少なくない。

 そう考えれば、別に不思議ではないのだが、何かひっかかるものを感じてならなかった。

「じゃ、始めよう」

 カメラマンが合図を出すと、スタイリストさんが政幸をライトの中へと連れて行く。

「コンセプトはセクシーな男です。自分なりに、演出してみてください。見えそうで見えない的な感じがあると助かります」

 告げると、カメラに入らない位置まで下がっていった。

 スタッフは全員男、男性向けということだから、全員男でも不思議ではないのだが、やはり何かが違うと政幸は感じている。

 それでも、一旦引き受けた仕事はやり遂げなくてはならない、それが誰から貰った仕事でも。

 仕事をするということは、そういうことなのだということを、政幸は知っている。

 何度か見たファッション系の撮影を思い出す。

 あの時、モデルの女の子たちはどうやってカメラの前に立っていただろうか。

 もの真似でもいい、やっているうちに自分らしい何かが見えてくるはず。

 それを信じて、つっ立っていただけの政幸の身体が少しずつ動き出したのだった。

 

-ラブストーリー


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