幻創文芸文庫 (β)

小説好きの創作小説を無料配信*スマホ対応

ラブストーリー

Black Blood Christmas #6【22歳】

   

田沢夫妻が崩壊して2年の月日が流れていた

2年ぶりに日本の地に降り立ったさつきは、出迎えた智と再会の抱擁をする

かつてドス黒い復讐に駆られていた智の中にはもう復讐の意欲が薄れだしていた…智が実家に顔出しするまでは…

再び復讐の幕があがる…

 

 もうすぐ冬が来る。

 たった数ヶ月前までは、季節なんてまったく感じていなかったのに――ネオンがかりそめの幻想を見せてくれるイベントまで一ヶ月となった。

「本当に日本に戻ってしまうの?」

「その為に、リハビリ頑張ったんだよ?」

「そうだけど、お母さん、寂しくなるわ。やっと親子水いらずで暮らせると思ったのに。お父さんと入れ違いなんて」

「私も残念だけど、遣り残してきたことがあるし。全部終わったら、また帰ってくるから」

 腰まである長い髪の毛をなびかせて、女の子は家を出ていった。

 それを見送る母親は、寂しそうというより心配そうに見送っている。

 もう22歳だというのに、20歳の時に成長が止まってしまったかのように、少女っぽさが残っている。

 生きた人形となってしまったわが子を連れて、娘が戻りたがっていたNYに。

 息子の失態は全て父親に任せ、母親が娘につきっきりなってしまったこの数ヶ月。

 一本の電話が娘に奇跡を起こさせた。

 男は約二年ぶりの再会に胸を躍らせていた。

 二年経っても彼女の姿を見つけられる自信はあった。

 何百という人が行き交う成田国際空港ロビーで、待ち人を待つ男。

 その男に向かってまっすぐ歩いてくる女。

 左手の薬指に光る指輪が懐かしい。

 間違いない、彼女だ――男は軽く手を上げて、女の名を呼んだ。

「さつき、こっちだ」

「変わっていないね、須藤さん」

 そう言って、さつきの方から軽くハグをしてきた。

「あ、ちょっ――人前で」

「あっちでは普通だよ?」

「でも、ここは日本だから」

 少し頬を膨らませ不満顔の彼女に、須藤が耳打ちする。

 あとでたっぷりと――と。

 

-ラブストーリー


コメントを残す

おすすめ作品