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ラブストーリー

Black Blood Christmas #7【3年後、幕開け】

   

更に3年の月日が経っていた

水面下で蠢いていた復讐のお膳立てが顔を見せ始める

フランスから日本に持ち込むことによって明かされたひとつの真実は、弓子を更に落としていく…

 

 須藤邸では、またまた密やかに祝い事が行われていた。

 弓子との再婚、3周年記念とクリスマスパーティだった。

 もう、親戚の面々はいない。

 智の父親と弓子、そして弓子の子と前夫と妹の間に出来た子が顔を揃えていた。

 相変わらず、智の兄姉は顔をみせない。

 みせないどころか、弓子がこの屋敷に入ってから、まったく寄り付かなくなったのだった。

 兄はただおとなしく妻だけをやっていろと、釘をさしたらしい。

 ようするに、この屋敷から出るなといっているのだ。

 不思議と弓子はそれをこの三年、守っているらしい。

 外出にはかならず夫が立ち会っている、それがまた智の神経を苛立たせていた。

「いいのか、クリスマスに探偵事務所に居ついて」

「いいわけないだろ、バカ。フラレたんだ、少しは自棄酒に付き合え、西岡」

「あいにく、私はあなたと違って忙しいの。こんな小さい探偵事務所に、ひとりで何件も依頼する人がいるんでね」

「いいじゃないか。仕事として頼んでいるだろ」

 難航しているのは、田沢政幸の行き先、相変わらず行方がつかめていない。

「死んだんじゃないか?」

「だったら、それなりに何か出るだろ」

「10歳の記憶のままで行方不明って、解せないんだよね」

「当たり前だ。10歳のままのはずがない。戻っているんだ、あいつの記憶。姿消して、なにを企んでいる?」

「復讐――じゃない?」

「誰の」

「智さんと、元奥さん」

 ありえすぎて笑えない、いっきに酔いが醒めていく。

 順風満帆、婚約まで秒読みかと思われていたふたりに破局が訪れたのは、昨日のクリスマスイブ。

 婚約指輪を用意した智を目の前に、さつきが別れを先に告げたのだ。

 理由は聞かないで。

 何年か先、また出会えた時、ふたりが独身だったら、縁があったら、その時は一緒になろうという。

 呆気、呆然。

 智は引き止めること出来ずに、ただただ去っていくさつきの背中をみていたのだった。

 こうして須藤智37歳のクリスマスが終わった――

 

-ラブストーリー


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