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ラブストーリー

Black Blood Christmas #9【須藤智 崩壊】

   

須藤夫妻は何者かの罠にはまり、何もかもを失う

智と弓子の間に「愛」はないが、男と女の性のような性欲だけで互いを必要としなんとか生き残ろうとしていた

そんな中、弓子の身体に異変がおこる

 

 翌日、智は妻弓子に叩き起こされ、気分の悪い目覚めで朝を迎えていた。

 それでもただ事ではない弓子の様子に、言われるまま居間へと向かうと、テレビのニュースに兄が映っている。

「兄貴? どういうこと?」

「あなた、お義姉さんから電話」

 子機を手渡されると、なにやら姉が騒いでいる。

 言っていることが支離滅裂で理解できない智は、姉の言葉を聞き流し、適当に相槌、聴覚はテレビのニュースに集中していた。

 すると、玄関のインターホンが鳴り、お手伝いさんが慌てて走り込んでくる。

 しかし、お手伝いさんが告げるよりも先に、訪ねてきた人たちが顔を出し、令状を見せた。

「須藤智、須藤弓子。この家の家宅捜査令状だ。従ってもらう」

 私服刑事の厳しい眼差し、そして別邸から響く泣き声。

 子供たちのいる方にも令状が出ていたらしい。

 弓子に、母親なら向かえと言い、向かわせる。

「朝早くから、なんです? 警察のお世話になるようなことはもうしていませんよ?」

「知らないのか? 須藤家が所有していた会社は買い取られている。更に、密告があってね。その家宅捜査だ。やましい気持ちがないなら、素直に従っていた方がいい」

 そう告げられた後、ひとりの刑事が声をあげた。

「警部。みつけました。日本刀、本物です」

 日本刀――ああ、しまった……

 智は即失態を受け入れた。

 恐らく、父親が申請していなかったのだろう。

 極道やっていた祖父が所持していたのをそのままにしていた――そんなところだろう。

 密告は、さつきだろうか。

 もう、そんなことはどうでもよかった。

 銃刀法違反、そんな些細なことよりも、全ての財産を奪われていた事実。

 知らされていないというより、会長の兄も知らなかったのだろう。

 だから、智が知っているはずもない。

 名前だけの社長だったのだから。

 姉が騒いでいたのは、このことだったのだろうか――だが、今はそれを確かめている時間はない。

 続いてまた刑事の声が上がった。

「麻薬にコカインです。大麻も発見」

 祖父の代でも、薬には手を出していない。

 仕込まれた罠。

 いったい、誰が――ここまでくると、さつきというより弓子の方が怪しいかもしれないと思えてくる。

 監視をしていたつもりだが、見過ごしていたのか、報告ミスか。

 今はもうどうでもいい。

 智はそのまま任意で同行、弓子も別途で同行を要請されてしまった。

 

-ラブストーリー


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