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SF・ファンタジー・ホラー

よろず代行株式会社(中)

   

「よろず代行株式会社」に腹立ち紛れの電話をした藤田は、意外な返事を受けることになる。あまりにも物分かりのいい男の対応に、藤田は期待と不安を胸に会うことを決める。

待ち合わせ場所で、ホソカワと名乗る若い男は、高度にシステム化された不正入試の方法を説明していく。結局藤田は、カンニングではなく、替え玉受験を選択するのだが……

 

(ちっ、何で俺はこんなしょうもないことを……)
 藤田は、携帯を耳に当てながら、電話を切ってしまいたい衝動にかられていた。
「よろず代行」ということをうたっているとは言え、いくら何でも、国立大学の受験の代行をしてくれるとは思えない。
 しかも自分自身、替え玉なりカンニングなりのリスクを背負って合格してやろうという覚悟を決めているわけでもない。
 完全に、腹立ち紛れの行動なのだ。
「はい。もしもし、よろず代行ッス。何でも請け負いますよ」
(ちっ。何だこいつは。まるで礼儀ができてねえな)
 電話に出たのは、声の調子からして若い男だった。言葉使いから口調まで、仕事の電話と思えないほど軽い。
 男の態度が、苛立っていた藤田の心から、瞬間的に引け目や後悔を弾き飛ばした。藤田は、当初の「予定」通り、話し始めた。
「なあ。おたくら、何でも代行してくれるんだって? 普通、代行業者ってのは、車の運転や家の掃除なんかじゃねえのかい?」
「はい。何でも大丈夫ッスよ。もちろん、運転やら掃除やらも全然OKですけどね。何がお望みでしょう」
 若い男の、淡々とした礼儀を知らない口調が、藤田の興奮を煽っていく。
「何でも」と、無茶な条件を出す前振りをこっちがしているのに、何故、ここまで平静でいられるのか。
 気に入らない。
 藤田は、吐き捨てるような調子で、「要求」を口にした。

 

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