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ラブストーリー

Black Blood Christmas #13【終止符】

   

我が子との偶然の再会が弓子を狂わせていく

犯罪と言っても過言ではない行動に出た弓子の後を追う、さつき

さつきの依頼で動いた西岡、そして付き添う須藤智

一転二転する展開に、まさかの結末

 

 新たな動きを見せたのは、柊と凪が中学生になった年の冬、またクリスマスシーズンだった。

 弓子は政幸の勧めもあり、今年のクリスマスから正月は田舎に行こうと声をかけた。

 違った土地の空気を吸って、はじめからやり直そう、そんな意味も込めて。

 その日は、その準備の買い物に繰り出していた。

 決して裕福ではないいが、夫婦で暮らしていくには、それなりになんとかなっていた。

 もう何年も旅行をしていないが、たまにはそんな贅沢もいいじゃないか?

 そんな気持ちになっての買い物だったが、政幸は急な電話で呼び出され後から合流すねことになっていた。

 場所は上野のアメ横、まだ年末恒例の人ごみまでには達していなかったけれど、土曜の午後ということもあって、それなりに人が集まっていた。

 そんな中、弓子はひとりの女の子に目が釘付けになる。

 黒髪で肩までのおさげ、学校の制服姿であることから、学校帰りの寄り道だろうか。

 自分の子――離れて暮らしていたって、最初興味なくたって、自分の子はわかる。

 側にあの子、憎たらしい凪の姿がないことで、弓子は自分の欲を止めることが出来なかった。

「柊?」

 声をかけると、女の子は振り向く。

「やっぱり、柊。大きくなって。中学生だっけ?」

 にこりと笑う弓子に対し、柊は警戒心を前面に出した顔を見せた。

「あなた、誰?」

「誰って、あなたを産んだ母じゃない。覚えていないの?」

「――知っているわよ。だけど、産んだだけじゃない。それで母なら、もう私だって母になれる」

 嫌われていないことはないとは思わなかったけれど、これ程とは思っていなかった。

「もしかして、さつきが余計なことを……」

「やめて。あの人を悪く言わないで」

 そう言って走り出そうとした柊の手を掴んで、駅の方へと歩いていたのだった。

 

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