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マスクエリア 第五覆面特区 最終章 流星の輝き(9)

   

笹田を完封し、報復に襲撃しようとしたサラにまで、佳代は恐るべきな力を見せつけた。しかし、高倉は全く焦ることなく、次の対戦相手として榊原を指名する。
圧倒的に力量差のある組み合わせに、誰もが捨て駒として犠牲になる榊原を想像したのだが……

 

 膝をつき、動けないでいる笹田の体に、サラが抱きかかえるような形で飛び付いた。
 清水も高倉も香西も、その様子を遠巻きに見ている。
 本来なら救護しなければならないのだろうが、駆けつけるタイミングを逸してしまったのだ。
「サラ……か。ダメじゃないか。勝手にリング内に入ってきては」
「師範っ! 大丈夫、ねえっ!」
 狼狽しかけたサラだったが、コーナーにもたれかかり、呼吸を整えている様子の佳代を発見した瞬間、物凄い表情で睨みつけた。
 獣のように唸り声さえ上げ、歯をむき出しにして、サラに迫っていこうとする。
「あなたが、あなたが……! 許せない、決して許さない」
 サラの闘気に反応するような形で、佳代は背中でコーナーをどんと押して、リングの中央に歩を進めていく。
 構えは取っていないが、瞳には生気が満ちあふれ、闘いの欲望を溢れさせているのが容易に見て取れる。
 遠くにいる清水ですら圧迫感を覚えざるを得ないほど強烈な、そして純粋な「欲求」に根差した闘気を、佳代は放っていた。
「顔面に一発、防具ごと叩き壊させて貰うわよ」
 サラが右手を大きく後ろに引いて腰を落とした。
 右のパンチで顔面を叩いてやろうという、単純極まりない意思が表れた構えだ。
 しかし、佳代はサラのパワーを知ってか知らずか、うきうきした様子で待ち構えている。
 サラが感情に任せて大きく一歩踏み込んだ瞬間、佳代の右脚の「力」が爆ぜたような気がした。

 

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