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SF・ファンタジー・ホラー

マスクエリア 第五覆面特区 最終章 流星の輝き(12)

   

狼血の奇襲という形で幕を開けたデスマッチ。清水は、強い意思を持ってリングに上がる。だが、プロレスラーと、武器の使用を専門にしているアランたちとの差は歴然。武器が使える香西までもが、苦戦を強いられていく。

一方、優位に立っているはずの新月も、清水たちの底知れぬ能力に精神的に追い詰められていき……

 

「ファ、ファイトっ!」
 清水たちがリングに上がるとすぐ、レフェリーが声を張り上げた。
 しかし、マクベス側は一切の抗議をすることもなく、手に取った武器を、清水たちの方に向けている。
 そう、闘いは既に始まっているのだ。
 そして、武器を持った人間同士の試合である以上、間合いの取り方が何よりも重要になってくる。
(うかつには、攻められんな)
 清水は、持ってきた木刀を投げ捨て、リングに落ちている、プロレス用の短い棒を手に取ると、小さく息を吐いた。
 リング上にいる敵は、何やら厚着をしているアランと、二本の竹刀を持った長身の男、そして、先程襲撃してきた、警棒を持った狼血の三名である。
 皆、専門的な訓練を積んでいるようで、あからさまな隙は見えない。
 リング外には、前のステージで大活躍してみせた佳代という少女が立っている。
 人数は、清水たちの陣営よりも少ない。また、リング外に一人しかいないところを見ても、人員補充の余地もないだろう。
(だが……厳しいな)
 清水は、自分の息が荒くなっていくのを感じていた。
 額に汗が滲み、マットに滴り落ちるのも、会場やライトの熱気のせいではない。
 武器を持った試合と言うだけで、ここまで戦力差が出てしまうものなのか。
 相対している三人からは、紛れもないプロの雰囲気を感じる。
 しかし、こちらは黒田が武器を使えるだけで、香西はそれほど得意ではないし、高倉や清水は、武器を持った「プロレス用の動き」、つまり、街での喧嘩のような粗い動きを何度か経験したに過ぎない。
 地雷や有刺鉄線ありのリングでの試合という、ささやかな優位性などまるごと吹き飛んでしまうだけの格差を、清水は感じていた。 しかし、下がれない。
 背後には電流入りの有刺鉄線があるし、下手に動いたら地雷を踏んでしまう危険性すらある。
 圧力に押されながらもとどまらざるを得ない状況は、清水の精神的スタミナを、瞬く間に削り取っていく。

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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