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SF・ファンタジー・ホラー

閉ざされた世界の先へ‐古き都の魔女‐ 第1話

   

忘らるる都 レユアン
――変わらぬ姿のまま悠久の時を刻みつづける古き都。その都には魔女が棲み、世界の安寧と豊穣そして均衡を保つ支えとなっているという。

  そして、若者が一人。

この世界に生まれ落ちたばかりの光に出会う。

 

 それは静かにひっそりと、古くは世界の創世からそこに在る。
 誰もがその存在をはっきりとは知らない…しかし存在しなくてはならない歯車のひとつ。

その歯車は――或いは神、或いは使者、或いは魔女と呼ばれた。

閉ざされた世界の先へ‐古き都の魔女‐

 忘らるる都――レユアン。
 かつて楽園と呼ばれた古都には、今でも多くの人間が生活している。レユアンは単一種族が治める都市国家で、建国当時から鎖国状態である為に“忘らるる都”という大層な二つ名を持っていた。
 都市の外郭は美しい正六角形をしており、町並みは一見して雑然としているが大きく7つの区画に分かれている。レユアンを統治する議会が置かれた“行政議会区”と、今は支配権を持たない王族が住む“特別区”が中央にあり、それらを囲む形で北から時計回りに“第一居住区”“第二居住区”“商業区”“特殊居住区”“自由区”となっている。
 これらは大まかな区分であるため、例えば医療施設や薬局などは居住区や商業区に点在していたりする。ただし、行商業者は商業区内でのみ商売を許されている。

 閉鎖的ではあるが活気ある都市レユアンには、ひとつの因習がある。
 それは数百年に一度、レユアンで最も強い男が選ばれ魔女に捧げられるというもので、所謂イケニエだった。
 しかし数百年に一人だけが選ばれるためか、本当のことを知るのは代々国家統治に関わる老人くらいのものだった。というのも――

“そんな悪さばかりしていると、悪い魔女がお前を連れていってしまうよ!”

 専らこんな調子で子供たち…特に男の子を戒める口実に使われているものだから、これが生贄を指すと知らずに育つ者が殆どだったからだ。

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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