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SF・ファンタジー・ホラー

マスクエリア 第五覆面特区 最終章 流星の輝き(15)

   

最終戦の開始を待つ両陣営の控え室は、対照的な雰囲気に支配されていた。清水たちの陣営には、けが人を出しながらも意気上がり、柔かな空気が漂う。

一方で、理不尽な形での「援軍不可」をレオナルドに告げられ、アランは激怒する。その姿は、普段新月たちに見せているものとはまるで違うものだった。

そして、控え室の外に出ていた新月は、アランの意外な実像についての証言を聞くことになるのだった……

 

「ようしっ、行ける、行けるぞ! 相手の援軍はまだ来てねえ、残りも少ない。次で最後だ。ストロングスタイルの真髄ってやつを見せてやれ!」
 控室に、高倉のゲキが響いた。
 おう、と、清水たちレスラー陣が応じる。
 黒田と笹田は、ケガの状態がひどく、医務室に直行していた。
「後、何人残ってるっけ、試合できるヤツは」
「清水さんに高倉さん、香西さんってところですね。試合の権利が残っていて、戦力になりそうなのは。特区の存亡を賭けてる時に、カジモトさんに頼るわけにはいかないし、サラちゃんを危険なリングに上げたくはないですよね。……おや、サラちゃんとカジモトさんは?」
 清水の質問に応じたのは、何やら入念に銃器類の手入れをしている榊原だった。
 実力的にも、ケガの具合からしても、とても最終戦のリングに上がれる状態ではないはずだが、リング外から奇襲でも仕掛けるつもりなのだろうか。
「サラちゃんは、休憩所で仮眠を取るそうだ。かわいそうに、熱気にやられたのかもな。で、カジモト氏は、護衛のためについていくと言っていた。笹田さんもいないから、これは仕方がないか。使えるわけじゃあないが、最終戦までには戻ってきて欲しいのだがな」
 高倉のぼやきは、清水たちの本音でもあった。
 ニュースタイルマフィア総帥のカジモトが戦うということは、決戦を通じて、カジモト一派が存亡の危機に立たされるということであり、同時に、特区側の力では、マクベスを抑えきれなかったことを意味する。
 と、なれば、特区が持つ絶対的な格闘力という拠り所は破壊され、今のままの形では存続し得なくなるのだ。
 清水たちの故郷である特区を守るというなら、カジモトをリングに上げることなく、アランたちに勝利しなければならない。

 

-SF・ファンタジー・ホラー


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