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ラブストーリー

王子は背中に花しょって *その弍*

   

『バックミラーに映る景色は、いつも見る景色と違うだろ。あれは幻なんだよ。
だから、気になっても本当の姿じゃないんだ。』

ハスキーボイスがはっきり聞こえる。

< 本当の姿じゃない>

この言葉が妙に引っ掛かる。

あの笑顔…。

無垢ではない< 何か>…。

天使のような獅羽と穏やかな狼牙…。

でも、なにやら二人には秘密がありそうで…。

王子様達の背中には花があるのです。

でも、この二人はガムテープでくっつけてるのかも(笑)

〈Automatic! 王子は背中に花しょって〉の第2話です。

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それでは、ごゆっくり…

 

花梨と定路の電撃婚約発表から2ヶ月。

あのガールズバンドがデビューし、PVの配信を行うや否や、獅羽と狼牙に問い合わせの電話が掛かってきた。

殺到するほどじゃなかったけど、それはが無名だから。

信用第一のこの業界。

認めてもらうまで、ひたすら忍の一字だ。

獅羽と狼牙は、相変わらず、何処に行ってもマイペース。

でも、それは悪い意味じゃなく、何処に行っても彼らのエアーポケットが出来ちゃうのよね。

だから、彼ら以外の世界が消えた様に感じちゃう。

これも才能よね。

『あのファッション雑誌。』

と鼻息荒く花梨がソファに座る。

『PV見て、やっぱりお願いしますだって。
頭に来ちゃうわ!』

PVのカメラテストの次の週に、撮影があるはずだった雑誌社は直前にキャンセルを言ってきたのだ。

あの時の花梨は激しかった。

「分かりました」と丁寧に電話を切り、大人だなと思っていたら、キッチンへと向かった花梨。

しばらくすると、

ガシャーン、ガシャーン

と、何回も何かが割れる音。

私達三人は大急ぎで、キッチンへ。

ドアを開けると、床に粉々になった白いお皿が…落ちてた。

散らばってないの。

唖然とする私達に、

『掃除が大変でしょっ!お皿は安物よ!』

と肩で息する花梨が口を尖らせた。

なんとお皿は、全て厚手のビニール袋に入れられて、投げてあったのだ…。

さすが、しっかり者。

狼牙が花梨の肩を抱き、キッチンから連れ出す。

獅羽がハスキーボイスで、

『片付けよ。』

と座る。

全部袋に入ってるけど、分別しなきゃ…。

私達は屈んで、袋を集めた。

すぐ横に獅羽のつるつるのお肌…。

それにいい匂い…。

しなやかな指が、まるで魔法を見てるように、ビニール袋の口を開いていく。

私は不器用で、しっかり結ばれた口をひっぱり、更に固く縛ってる感じ…。

獅羽がクスッと笑うと、

『蒼音、貸して…。』

と私の手をそっと掴み、ビニール袋を取り上げる。

ドキドキする私に、

『蒼音の手って、柔らかくて、小さいね…。』

とハスキーボイスで囁いた。

蒼音、倒れます…。

後ろにぐらつき、ペタンと尻餅をつく。

獅羽は片手を床に付き、一点を見つめている。

獅羽の翡翠色の瞳が…、近づいてくる!

え? 何? キ、キスされる!?

思わず目をギュッと閉じる。

バンッ!!

背後で凄い音がした。

驚いて目を開け、振り向くると、

獅羽が手に持ったスリッパで、私越しに蝿を叩いていた。

『命中♪』

獅羽はご機嫌に、ティッシュで挟んで、屑籠に捨てた…。

そして、再びお掃除開始したのであった…。

回想終わり。

『で、断ったの?』

と狼牙が穏やかに聞く。

花梨はにっこり笑い、

『まさか!? <喜んで>って受けたわよ。』

商人の顔や~。

『私がついていくから、蒼音は留守番ね。』

花梨はプロのモデルだ。

現場にいた方が的確なアドバイスが出せる。

獅羽と狼牙も頷いた。

 

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