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恋愛 / ラブ・ストーリー

夢の国

   2010年12月15日  

 それに対し彼はなんて言ったんだっけ?

 ああ、そうそう、嵐が好きなんですね……だったわ。

 客と店員だもん、そんなものよね。

「おかしいですか?」

 私はぶっきらぼうにそう返した。

 職場でも嵐が好きってこと、隠しているし。

 隠すも何もプライベートを語るくらい仲のいい仕事仲間がいるわけでもないしね。

「そんなことないですよ。男の僕が聞いてもいい歌だなって思いますし。あ、ちょっと時間あります?」

 忙しいのよと見栄張るのも空しくて、私は素直に頷く。

 すると従業員通用口が正面入り口の裏手にあるから、そこで待っていて欲しいと言われ、バカ正直そこに行くと彼がいた。

 どうせ捨ててしまうものですから……そう言って店頭によく置かれていたPOPや告知ポスターをくれたの。

 だからってわけじゃないわよ、私が後々彼を誘ったのは。

 いくら捨てるものだったとしても、タダで貰うもの程高くつくものってないじゃない?

 だから仕事帰りにお店に行き、彼が仕事終わるまで待って夕食をご馳走したの。

 もう、私の食生活何日分? ってくらいの出費だったけれど、彼とそういう時間を持てたことがとても幸せだったのよ。

 それから少しずつ距離を縮めて互いを知り、ふたりで同じものを見るようになって私たちは――

 

-恋愛 / ラブ・ストーリー

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