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ラブストーリー

きみが困らなければいいけれど。 後編

   

 けれど。
 自分が、父親になる……?
 それは、恐怖でもあって。
「堕胎すのは、やめとけ。どっちにしろ、そこまでしても、おまえはおれから、離れてく」
 莉子が、堕胎という行為を行ったことによって、背負うだろう痛みを、覚悟の上で言っていることは、判っている。
 それでも、それは。
 おそらくは。
 莉子自身が思っているよりも、莉子のこころに、深い傷を与える。
 もちろん、男である穗積には、想像することしかできないけれど。
「でも、穗積は……」
「そうじゃない。ただ、驚いただけだ」
 いつかは、そうなるだろうことを、覚悟していたはずだというのに、それが現実のものとして、目の前に突きつけられて。
 喜びよりも、驚きのほうが、先に立ってしまった。
 莉子が一番、不安なはずなのに。
 それを推し量ることも、できずに。
「お前は……」
「……なに?」
「おまえは、困らないのか?」
 だからこそ。
 穗積は尋ねてしまう。
 きみは、困らないのだろうか?
 このまま、自分とともに、歩んでいくことを、ここで決めてしまって。
 そう思うのは、ただの逃避なのかもしれない。
 それでも、聞かなければならない気がするのだ。
 たとえ、軽蔑されることに、なったとしても。
 そんな自分を、莉子はどう思うだろう。
「困るわけないよ。あたしは、穗積と一緒にいたいの。一緒にいられないほうが、あたしは、困ると思う。だから……」
 なのに、莉子は。
 そう言って、笑うものだから。

 

-ラブストーリー

きみが困らなければいいけれど。<全2話> 第1話第2話

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